2005年10月06日(木)
05年10月6日交通水道委員会
No.1
※ 本委員会は、重要条例改正案(地下鉄運賃値上げ)審議のため、特別に、市長・副市 長の出席を求めて開かれました。井上けんじ議員の質疑部分を紹介します。
○委員長(加地浩)
「委員会を再開致します。休憩前に引き続き,質疑を行います。井上けんじ委員、どうぞ。」
◆委員(井上けんじ)
「昨日、一昨日、私は手続に問題があるんではないかと、あるいは市民の暮らしが非常に大変になっている折での運賃改定提案だと。あるいは,当初の利用の見通しが変わってきているんではないかということから、今後の運賃改定についても否定されなかった。あるいは、経営の努力についても、狭い意味での努力、あるいは広い意味での努力、いろんな角度から努力が必要だと。あるいはまた,昨日は参考資料の6ページ、高かった時期に建設をしたという議論については、おかしいんじゃないかということで質問もさせていただきました。
結論的に,今日のこれまでの議論も含めて私思うのは、やはり撤回をして、もう一度考え直すべきだと、このように相変わらず思うわけですけれども、その理由として、今日は手続の問題、それから営業政策、経営努力の問題、この2点に主に絞って質問をしていきたいと思います。
まず最初に、今朝の加藤盛司委員の質問に対しても、情報公開、説明責任、共感と理解、納得を得ながらとこういう風に市長がお答えになりました。しかし、私思うのに、情報公開だとか説明責任というのは、やっぱり市民の皆さんをお客さんに置いていると言うか、そうじゃなくて、地方自治体というのは市民自身が主人公で、市民自身が決めていくと。その市民の信託を受けて我々仕事をしているんだと、こういう角度から言うと、何か説明する、何かオープンにする、こういう風なところということになると、やっぱり今日的な住民自治の議論の到達点、踏まえておらないんではないかと、こういう気がするわけです。
例えば、これは極端な議論かもしれないけれども、参政権という言葉がありますけれども、ある学者によると、政治に参加する権利。だけど、何かものがあって、対象があって市民が参加するんではなくて、市民自身が主人公で、市民自身が自治の担い手だと、こういうことから言うと、この言葉についてもちょっと疑問を感じるんだという学者、研究者なんかもおられたりするぐらいで、いずれにしましても、そういう角度から言いますと、今回は幾ら公開をして説明責任を果たしていただいたとしても、その決定プロセスに市民の皆さんが意見を述べたり発表したりという機会がやっぱりないと、こういうように思うわけです。
温暖化対策条例の策定過程については、市長自ら、御存じのとおりなんですが、こういうことと一つ比べてみても、やっぱり不十分すぎるとこのように思うわけですけれども、この点いかがでしょう。」
○委員長(加地浩)「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「今日的な意味での説明責任というものを果たしていないんではないかという御指摘でありました。
午前中も市長から申し上げましたけれども,一般論としまして地下鉄の経営というのは,非常に重要な大都市の社会経済基盤ではありますけれども,そもそも地下に建設されるということで,膨大な建設費用が掛かるわけでありまして,利用者の負担で賄っていただくのはそのおよそ3分の1に抑えられているとは申しても,巨額であることには依然としても変わりはございませんで,初めから原価を償うような料金を頂くことは非常に難しいということで,定期的に運賃改定を行わせていただいて,長期的に見て収支の改善を図っていかざるを得ないというものでございます。
このために,京都市でも昭和56年の烏丸線の一部の開業以来,おおむね4年ごとにこれまで4回にわたりまして,市会に運賃改定のための条例を提案させていただきまして,改定を実施して参りました。
平成8年の前回の改定以降は据え置いて参りましたけれども,平成12年2月の市会で御報告させていただきましたプログラム21,あるいは15年3月に報告させていただきましたルネッサンスプランをはじめと致します健全化計画におきましても,運賃改定の必要性を挙げまして,市会に御報告するだけではなくて,交通局のアクションプログラムの中にも掲載して,ホームページなどで掲載し,広く公表させていただいております。
また,昨年2月市会では,経営健全化計画について御報告をさせていただいて,実際に17年度に10パーセント,以降5年ごとに5パーセントの運賃改定が必要であるという考え方について御説明をして参りました。
その後,今回の改定の御提案をするに当たりまして,熟慮に熟慮を重ね,醍醐六地蔵延伸の効果ですとか,16年度決算の状況などを勘案致しまして,事業者である交通局にぎりぎりの健全化努力,そして一般会計支援策を併せ講じてもなお,7.4パーセントの改定をお願いせざるを得ないと判断しまして,御提案を申し上げております。
その前に,こうした厳しい本市の地下鉄の経営状況について,市民の皆様にできるだけ分かりやすくお知らせしたいということで,ホームページだけではなくて,市民しんぶんの全戸版に折り込み散らしも入れさせていただきました。今後とも,その経営の健全化に精一杯取り組むとともに,市民や利用者の方々に広く経営状況,そして運賃改定の必要性について御理解いただけるように,様々な取組をして参りたいという風に考えております。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「私の聞き方が悪かったんかね、それともこの話はぐらかせてくれてはるのか知らんけれども、私に説明責任してくれと言うてるんと違うんですよ。冒頭で説明責任果たしていないんではないかという指摘を受けましたけれどもという風に言われましたけれども、私、そんなこと言うてないでしょう。時間がたつばっかしですよ。
私は、説明責任ということ自身が市民をお客さんに置いている考え方じゃないかと。市民自身が決定のプロセスに参加できる場をどう作ったんですかと、このことを聞いているわけです。端的に答えてください。」
○委員長(加地浩)
「桝本市長。」
◎市長(桝本頼兼)
「市政の主人公は市民であるということは,これは同意できます。そして,透明性のある行政を進めるために,情報を公開し,説明責任を全うする。これはもう当然のことであろうかと思っております。
ただ,先生おっしゃるように,極端なことを言えば,先生のお話は今日の議会制民主主義,更には地方自治制度,憲法違反の地方自治制度にまで行き着くような,かなりラジカルなお話をされているようにお伺い致しまして,ちょっと答弁できないんじゃないですか,そういうことでは。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「それだったら、地方自治法に何で直接請求の制度なんかがあるのかという議論からもう一遍しなきゃならないんですよ。だけど、今ここでそんな議論しとっても時間もったいないだけだから。
一つ、地球温暖化対策条例制定過程についてというのを、ちょっと私振り返ってみたんですが、15年の3月に市長から審議会に諮問と。それで、審議会で色々意見挙げてもらって、審議会に対する市民意見の募集が行われたと。それも踏まえて、審議会から市長に答申があったと。今度は京都市が大綱を発表されたと。またそれに対して市民意見の募集があったと。その後に市会に上程されて、本会議で可決、こういうプロセスを経ているわけです。ですから、市民の皆さんが何らかの提案を受けて、それに対して私はこう思うんだという意見発表の機会もあったと。今回、それがないんではないんですかということを言っているわけです。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「考え方の多少違いもあろうかと思いますけれども,私どもとしましては,従来の地下鉄運賃改定のプロセス,経緯なども踏まえまして,その前に昨年2月にも市議会の方で御説明をし,あるいはその後も御質問をいただいたときに9月議会でも御説明致しましたように,運賃改定について熟慮に熟慮を重ねているという段階で御説明はしておりませんけれども,一方で,運賃改定そのものが計画の中に織り込まれている,あるいは,それが必要であるということについては,様々な手段で市民の方にお示しをしてきたという意味におきまして,プロセスと言いますか,手続違反という点については,当たらないのではないかと思っておりますが,いずれにしましても,市民の方に運賃改定の必要性や経営状況について御理解をいただかなきゃいけないということについては,私どももそう思っておりますので,そのために経営の健全化に精一杯取り組みながらも,市民や利用者の方々に広く理解いただけるように,様々な取組をして参りたいとという風に申し上げているところであります。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「今月から施行されている消費生活条例、これは地下鉄の運賃には当てはまらないということだろうとは思うんですが、その趣旨と言うか考え方については応用できるんじゃないかなというように思うわけですが、市長は、消費者が消費生活に関し意見を述べる機会を確保するとともに、当該意見を消費生活施策に適切に反映させるために必要な措置を講じるように努めなければならないと、こういうことも書かれているわけで、趣旨については生かせるんじゃないかという風に思うわけです。
だから、より好ましい方法、より好ましいプロセスということから考えた場合に、やっぱり審議会を開いてもらうとか、市民意見の交換会を開くとか、そういう過程があった方が、より民主的ではなかったのかと、この点についてはいかがですか。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「先ほどは御質問の御趣旨が手続違反だという風な御意見でしたので,そのようにそれに対して私どもの考え方を申し上げましたが,できるだけ市民の意見を聴くべきであると,望ましいのではないかという御指摘でありますが,様々な市の政策提案の中で,やはり地下鉄の運賃改定が特別だとは申しませんけれども,しかし,非常に市民生活に重要な影響を与えるものであることは間違いございませんので,丁寧な説明をすべきであるという点については,おっしゃるとおりだと思います。
ただ,そういう説明の仕方について,これでなくてはいけないというものが,今はないと思いますので,できるだけ私どもとしても説明をしてきたつもりでありますし,今後もこの議会でも十分御審議をいただいたうえで,市民の皆様にも情報提供をし,考えていただこうという風に思っているところであります。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「全然かみ合わへんね。より好ましい方法というのは色々あるわけでしょう。さっき対策条例の例で私言いましたけれども、だからそういう方法をちょっとでも採っておいたらよりよかったんじゃないんですかと言っているわけですよ。それに対して、いや、今で十分なんだとおっしゃるのか、それとも井上の言うように、もうちょっといろんな方法もあったかもしれんなと、このことを聞いておるわけですから、このことについて端的にお答えください。このことについてはこれで終わりますけどね。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「より望ましい方向,方法として,一般論で申し上げれば,様々な方法があり得たと思いますけれども,地下鉄の今回の運賃改定につきまして,過去のプロセスなどを見,そして現在の状況を考え,地下鉄の経営状況などを考えますと,精一杯の私どもとして努力をした結果を今,7.4パーセントという形でお願いをしている。それについて,私どもとして市民の方々に,今後しっかりとお示しもしていく必要があるという風に思っておりますんで,その点については,これからしっかりと様々な取組をして参りたいという風に考えております。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「今後しっかりとお知らせしていきたいという風におっしゃるということは、裏返せば今まで十分ではなかったということを言い換えておられるように私は受け止めます。今後と言ったって、もう13日に何らかの形で可決と言うか、採決、否決になるか、採決せんといかんということですから、私、くれぐれも言いますけれども、決まる以前、何らかの形でコンクリートされる前に、もっと市民の皆さんが多様な角度から多様な場面で意見を出してもらうのに、そういうプロセスを作るべきだったという、こういうことを言っておるわけですが、こればっかりやっているわけにいきませんので、だからこそ、私はいったん引っ込めて出直すべきだと言っているわけです。
それから次、2番目のテーマに入りますけれども、営業政策の問題です。
交通手段の多様化等により、お客様の数が伸び悩んでいると。どうも他人事で責任感が欠如しているように私は思うわけですけれども、そこで積極的営業政策と言う場合、私は二つ、三つ、ポイントがあると思うんです。
まず第1番目には、組織的な問題。交通局の在り方。よくも悪くも交通局の任務の第一義的なお仕事は、安全で快適に市民の皆さんの移動を保障してもらうと、このことであることについては間違いないわけですけれども、それと同時に、京都の交通をトータルにどうするのかと、このことについても、もっと幅広く視野持って考えていただくと。このことが交通局のお仕事、あるいは都計局ともっと連携取ってもらって考えていただくと。こういう役割が必要なんではないかという風に思うわけですけれども、それで先ほど来、プロジェクト、プロジェクトという言葉が出てますけれども、これはどういうことを想定されておられるのか。私が質問したこととかみ合わせてお答えいただきたいんですが,いかがですか。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「厳しい経営環境の中にありまして,安全,快適,確実な輸送サービスの確保は当然としまして,経営状況を改善するためにも地下鉄,バスのお客様の増加に向けた取組が必要不可欠であります。そういう取組が,取りも直さず京都市の自動車交通に過度に依存しない歩くまち京都を形成していくうえでも不可欠であって,また公共交通機関の中で,本市交通事業が中心的な役割を果たす必要があるという認識についても,これは先生のおっしゃるとおりだと思います。
プロジェクトチームと,プロジェクトとあるいは申し上げておりますけれども,そもそも歩くまち京都を実現するうえで,全市的に取り組む中で,交通事業者である交通局としても,中心的役割を果たしていくうえで一体何ができるのかと。あるいは何をすべきなのか。交通局の事情から申しますと,そういう検討をしていくことで,本市の望ましい都市像に貢献するとともに,経営状況の改善につながるという意味でございますんで,そういう観点で公共交通の今後の在り方,あるいは増収対策という意味で検討していくということでございます。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「相変わらずよく分からないけど、私の言っている趣旨からすれば、昨日の答弁でLRTの問題について私が質問したときに、影響が大きいと、競合路線だとこういう答弁があったわけですけれども、もし交通局が、今私が議論しているような趣旨で、幅広く京都の交通を本当にどうしていくのかということを考える役割をもっと担ってもらいたいと。もちろん、交通局だけではない。都計局、全市的な立場で頑張ってもらいたいということが、肯定的に聴いていただいているんであれば、何でそういう答弁が出てくるのか。ここん所、ちょっと説明していただけますか。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「LRTの導入に関して,交通局の方からの答弁で,消極的な答弁があったという御指摘でございますが,LRTにつきまして,この度公表しました報告書におきましては,新しい公共交通システムの導入の中でLRTというのが有効であると。しかし,特に本市域内においてネットワークを構築している市バス事業,地下鉄事業には,大きな影響が受けることは当然であるという風に報告書にも書いてございます。
ただ,例えばLRTで申しますと,ターゲットとしている輸送力の点で,若干,例えば市バスなどとは違いますので,そういう意味で,適切な役割分担が行われ得るのではないかという観点で,今後,LRTについてこの報告書,市民の方々に提示して,広く御議論をいただきたい。一番影響を受けるのが,通常の自動車交通でありますから,そういう観点で広く御議論をいただきたい。
その中に,例えばLRTの導入に伴って,例えば市バスの再編,地下鉄への影響なども十分勘案していく必要がある。特に現在,地下鉄の営業状況は非常に厳しいものがありますので,そういう観点からも,あるいは厳しい財政状況の観点からも,LRTについて慎重に検討する必要があるという意味だろうと思います。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「ちょっとどうもかみ合わへんという気が相変わらずするわけですけれども、だからプロジェクトについて、どういう組織的なことを考えておられるのかということについては、具体的にもう少しお答えいただきたいと。
要するに、私の言っているのは、日常的に都計局と交通局が定期的な、恒常的な連絡組織みたいなものを作られるという意味なのかどうか。あるいは、それでなかったら私はそういうことは必要だという風に言っているわけですけれども、そういう立場で京都の交通を全体としてどうしていくかと。こういうことについて、もっと交通局もかむべきでないかと。昨日も言いましたけれども、市民の移動というのは、それこそ出発地から目的地まで千差万別、人の数だけルートがあるわけでしょう。ところが、地下鉄というのは、やっぱり基幹的な交通機関だから、面的なカバーというのはできないわけですよ。ということは、やっぱり駅と出発地、目的地をどうつなぐかという議論をきちんとしないと、そのために自転車の駐輪場だとか、バイク置き場どうするかとか、他の交通機関との結節どうするかとか、その場合に、民間のバスに乗って地下鉄乗られる方もおられるとすれば、民間のバスがどういう経路採っているのかということについても、併せて考えていかんとあかんと。そういうことを考えたら、やっぱり京都の交通全体としてどう考えるかということが必要なんじゃないかということを言っているわけです。
ちょっと具体的にプロジェクトの問題、答えていただけますか。」
○委員長(加地浩)
「島田管理者。」
◎公営企業管理者(島田與三右衞門)
「過日の委員会で私が申し上げましたLRTに関してでございますけれども,まず,一つと致しまして,今の提言が出された段階で,私申し上げましたのは,バス運行で今日にでも生じております定時性の確保,それは大渋滞をはじめ,共通した課題でございます。LRTについても,いかに,今バス専用路線の現実を踏まえて,困難な状況がありますし,そのことはマイカー,あるいは市民の皆様,あるいは事業者の皆様が公共交通に対してどういう意識を,この際議論を深めていただいて持っていただけるかということで,私どもと致しましても大変大切な自己の問題であるというのが1点。
その例と致しまして,私,杉並の荻窪におったときに,向こうでは青梅街道を完全にバス専用レーンで,真ん中のレーンはタクシー,トラック渋滞しておりますけれども,片やがらがらでバスがすいすい通っている等々申し上げました。私は,今のLRTに対しての考え方が出された段階で今申し上げたいのは,我々現に今バス運行をしている者と致しまして,市民の皆様の意識が大変このことについて,公共交通機関が大切であるという意識を持っていただければありがたいと申したのと,もう1点は,事業者と致しまして現に地下鉄,バスを運行致しておりますので,具体の際には事業者として意見は必ず,慎重でございますけれども確実に申し上げて,その中に参画を積極的にして参りたいと申し上げたつもりでございます。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「もう時間ないから次行きますけど、いずれにしても私が言っているのは、交通局だけじゃなくて、都計との連携、全庁的、全市的に京都の交通問題、考える場を是非横断的に努力していただきたいとこういうことです。
それと同じことを、もう少し敷えんしてと言うか、広げて考えてみた場合に、市民の皆さんの声、意見、学識経験者、利用者の人たち、そういう人たちの声を恒常的に取り上げるような、意見発表してもらうような、そういう組織と言うか、委員会と言いますか、そういうものについても是非作っていくべきでないかというように思うわけですけども、この点についてはいかがでしょうか。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「バス事業につきましては,御承知のとおりバス事業を考える会というのがございまして,公開の場で議論をいただいたわけでありますけど,そのほか交通事業そのものについては,市民代表も入っていただいた交通事業審議会というのもございますので,こういった既存の組織について,十分活用しながら,それ以外に直接市民の御意見も伺う工夫をしながら,今後の望ましい公共交通の姿について検討していくべきかという風に考えます。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「積極的営業政策ということで、今組織の問題について議論したわけですけれども、二つ目、政策的な方向としては、やっぱり私は先ほど市長も自家用車なり、公共交通のシェアを挙げられて、何とか地下鉄にシフトということをおっしゃいましたけれども、やっぱり私は政策的な観点から言いますと、嘆いているだけでは済まへんと。この自動車について、何らかの踏み込んだ、あるいはこの歩くまち京都とおっしゃっておられるわけですから、そこのところをもう一歩突っ込んだ施策が必要なんではないかと。
具体的に言いますと、歩行者天国であるとか、トランジットモール、フルモール、セミモール、あるいは違法駐車への厳しい対応、各地下鉄の駅ごとにパーク・アンド・ライドみたいなことが、規模は小さくとも考えられないかどうかとか、あるいはTDM施策の推進についてもそうなんですけれども、欧米でも、先ほど市長は先進都市ではいずれも渋滞しているという風におっしゃいましたけれども、これは私、認識が10年、15年ぐらい遅れているんじゃないかという気がするわけです。
というのは、欧米の都市では、もう自動車依存のまちづくりから卒業して、環境に優しい、人に優しいまちづくりしようということで、例えばイチロー選手のおられるシアトルなんかでは町の中心部ではバス、無料にされておられるとか、もう独立採算制なんて言っているのは日本だけです。あるいは、このアメリカでもポートランドというまちでは、高速道路もつぶして、あったものをなくして公園にしたとか、そういう先進的な事例、色々あるわけですよ。ですから、そういうことから学ぶということからすれば、もっと京都市としても考えられることがあるんではないかと。
先ほど、木を見て森をうんぬんの話がありましたけれども、やっぱり私は木を見て世界を見ないと、こういう今の京都市の発想では具合い悪いと。もっと広く世界を見ていただいて、先進的な環境に優しいまちづくりの事例から学ぶべきではないかとこのように思うわけですけれども、この辺りいかがでしょうか。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「京都市は,公共交通機関の分担率が他の都市に比べては比較的高い方でございます。しかし一方で,この20年間の間に自動車交通のシェアが10ポイント以上上がって参りまして,これによって都心部の恒常的な渋滞ですとか,あるいは観光地の交通中心の渋滞が起こっている。これが,非常に大きな都市としての魅力を減退しているということについて認識を持っております。したがいまして,京都市が都市としての魅力と活力を持ち続けるというためには,自動車交通に過度に依存しない,歩くまち京都を形成していくことは不可欠でありまして,そのために本市の交通事業が中心的役割を果たしていかなきゃいけないと思いますけれども,御指摘のような具体的なトランジットモール,あるいはセミトランジットモールにつきましては,世界では実現を見ている例がたくさんございますけれども,まだまだ我が国においては交通社会実験の域を十分出ていない状況,したがいまして,地元の方々の十分な御理解をいただかないと,なかなか導入ができないというのも御承知のとおりでございまして,こういった将来の姿について御理解をいただきながら,地元の方々についても理解をいただいて,歩くまち京都の形成に向けて,具体的な施策に取り組んでいく必要があるんじゃないかという風に思っております。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「もう時間が来てますのでこれで終わりますが、例えば交通権という考え方があります。移動を権利として保障しようと。だから、広い意味ではこれはやっぱり福祉に含まれるという考え方もあったりするぐらい、交通権、権利。
それから,また自動車の社会的費用、外部費用を内部化しようという議論なんかについても、既に有名な書物が出てますけれども、これも30年以上前の話です。したがって、研究すべきテーマは山ほどあると。そういう中で、京都の地下鉄、市バス、どうしていくかと、こういう議論の立て方する必要があると思うんです。
営業政策の一つ目に組織の問題、二つ目に考え方の問題言いましたが、3番目に財政の問題で一つだけ言っておきたいんですが、例えばこの起債の許可制度というのは、憲法違反だという議論なんかもあったりするわけです。じゃ、そういう論を立てて、市長が本当に国相手におかしいんじゃないかと言うて行かれるだけの度胸と根性を持っておられるのかどうか。あるいは、この公営企業の借換えについてもこの間、議論がありましたけれども、これとても公営企業の金融公庫だけの部分ですから、じゃ、政府の資金が本当にこの無駄な公共事業なんかに使われてないのかどうかと、こういうことについても大いに京都市から、批判的な声をもっと上げていくとか、財政の問題一つ取ってみても、議論すべき論拠はたくさんあるわけだと思うんです。そういう点では、単に一般的に国にいろんな要求しているということだけじゃなくて、理論的にも足場と論拠をしっかり固めて、訴えるべきものを持って国にも当たっていくと、こういう方向が引き続き必要なんじゃないかって思うわけですけども、そういう点、最後に総括的に御答弁いただいて終わります。」
○委員長(加地浩)
「毛利副市長。」
◎副市長(毛利信二)
「厳しい地下鉄の経営状況を考えますと,国からの新たな支援というものがどうしても必要ではないかと。そのために,強力に具体的な戦略を持って求めていくべきであるという御指摘だと思いますけれども,現在,三位一体改革の進行中でありまして,これを実現していくことによりまして,地方が独自に,自主的に運用できる財源が増えて参ります。
一方で,しかし,まだ地方債の許可制度がようやく協議制に変わるという状況でありまして,まだまだ私どもに自由度が十分あるとは申せない状況であります。そういう中にあって,地下鉄の経営については,お客様に3分の1までの負担にとどめる制度が現在までありますけれども,これだけではまだまだ不十分ということで,公営企業の低金利企業債への借換え措置や,地下鉄事業の特例債制度,あるいは健全化計画の創設といった制度が次々仕組まれております。こういったものは,最大限本市として利用して参りますが,更に道路特定財源の活用なども,本市と東京都だけ活用になっておりますけども,更にこうした国の支援について,拡充を求めていきたいという風に考えております。」
○委員長(加地浩)
「井上けんじ委員。」
◆委員(井上けんじ)
「今の議論通じても、やっぱり私は撤回して出直すべきだと、こういう気持ちについては全く変わらないばかりか、ますます強くなったと、こういう感想を申し述べて終わります。」