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京都府後期高齢者医療広域連合議会

今年度第二回広域連合議会(決算議会)

No.4

 8月19日、今年度第二回議会が開かれ、私からは、一般質問と、前年度特別会計(被保険者高齢者への医療給付の実績)について、質問・討論しました。

京都府後期高齢者医療広域連合議会2011年度第2回定例会での一般質問

     日本共産党(京都市会選出)井上けんじ

京都府後期高齢者医療広域連合の組織の将来について

 京都市会から選出されています井上けんじでございます。私は、後期高齢者医療制度と後期高齢者医療広域連合が、これからどうなっていくのか、連合長はどうしたいと思っておられるのか、そのあり方についてどのように考えておられるか、ご見解をお伺いしたいと思います。
周知の通り、昨年12月、厚生労働省の高齢者医療制度改革会議が新制度の最終案を発表されましたが、その概要は、要するに、年齢で高齢者を差別する後期高齢者医療制度を国保に戻すとは言いながら、別勘定のしくみは残し、加えて、現行各市町村単位の国民健康保険を都道府県毎に広域化し、これと現行後期高齢者医療を合流させようというものであります。これについて私は、今年2月の本広域連合議会において、これは、高齢者医療制度のあり方にかこつけて、実際は国民健康保険制度全般の大改悪を打ち出したものに他ならないと、これを批判する立場から質問いたしました。批判の理由として、地域住民のいのちと健康を守る仕事は公衆衛生や保健活動・予防活動などと相まって身近な市町村が保険者となってこそその役割がいっそう発揮できること、小規模自治体が赤字・大規模自治体が黒字とは一概には言えないこと、現行国保の保険者である各市町村の一般会計繰入や保険料及び一部負担金の減免等のしくみが、なくされたり縮小されるおそれがあること、加えて京都市長などは、職域健康保険との合流・一本化と言っておられますが、こうなるとその機会を捉えて事業主負担が縮小されるおそれがあり、そのしわよせが労働者にも及ぶこと、等々を挙げました。
 すでに京都府でも国保広域化等支援方針なるものが打ち出され、京都府と府内各市町村の担当者とで、国保の一元化に向けた協議会が開かれているとのことであります。そうすると、前述の通り、高齢者をはじめ府民のいのちと健康をどう守るのか、年齢で区切ることの妥当性は一体どこにあるのかという議論とともに、この国保を運営する保険者についても、一体どうなるのか、どうするのか、議論が必要になってきます。この協議会とやらはどう考えておられるのでしょうか。そうすると、現行の本広域連合との関係も、当然、問題になってきます。そこで連合長は、何か照会はされましたか。協議会からの相談はありましたか。経過は如何でしょうか。これらの動きとの関係で、本広域連合がこれから一体どうなっていくのかというのが、私の質問の趣旨であります。私は国保の一元化には反対ですし、後期高齢者医療についても、政府民主党が当初の公約通り廃止すべきという立場でありますから、国保の新たな保険者も作る必要はないし、また本広域連合も後期高齢者医療制度の廃止にともなってその役割は自ずから無くなるものと考えておりますが、連合長はどういうご見解ですか。組織のあり方についてご答弁を頂くにあたっては、制度自体の評価についてのご見解が前提になりますから、合わせてお答え下さいますよう求めまして、第一質問とします。

(第二質問)

 今日の国民健康保険の議論は、既存の国保について、狭義の内容についてだけでなく、その枠組み全体が議題になっていますから、後期高齢者医療保険制度のあり方とも密接に関連しています。またそもそも、この国保のあり方も、高齢者医療制度の改革という議題の中から打ち出されてきたものであることも、言うまでもありません。即ち、国保の議論は、後期高齢者医療保険被保険者はもちろん、私たち広域連合関係者にとっても、重大な関心を持たないわけにはいかない課題となっています。まして、新しい国保の保険者に誰がなるのかという話になると、本広域連合にも、直接かかわってくる話となるのはあまりにも明白であります。
 そうだとするなら、私たち広域連合としても、自らの組織の将来について、主体的に考えていくべきですし、また組織のあり方について考えようとするならば、制度のあり方自体についても考えていかなければなりません。この点で私たちが依って立つべき最大の拠り所は、制度の廃止を掲げた民主党が国民の支持を得て政権を担当するようになったことであります。即ち、制度廃止が国民の声でありますから、その声に沿って物事を考えるのが、国会であれ地方自治体議会であれ、当然の判断であろうかと思います。
 第一質問で紹介しました国保の一元化に向けた京都府の協議会では、なぜ広域化・一元化するのかという議論はほとんどなく、もっぱら実務的な話がほとんどであったそうであります。今のままでは、本広域連合に何の相談もなく、ある日突然、自分たちのことが自分たちの議会で十分に議論する機会もないまま、広域連合の外から一方的に方針が決められてしまうおそれがあります。
 後期高齢者医療制度については国民の意思に沿って対応すること、国保についても、あれこれと組織をいじることではなく、政府が必要な財政的責任を果たしていないことが問題の根本でありますから、この点にもっと集中して各自治体や本広域連合が取り組まれますように、連合長におかれましても、そういう立場でご尽力賜りますように、重ねて求めまして、第二質問とさせて頂きます。


京都府後期高齢者医療広域連合議会2011年度第2回定例会における、日程第13=認定第2号「10年度特別会計決算の認定について」への、不認定討論

     日本共産党(京都市会選出)井上けんじ

 私は、只今議題となっております、認定第2号「2010年度特別会計歳入歳出決算」について、これを認定しないとの立場から討論を行います。「議案」並びに「主要施策の成果説明書」を拝見しましたが、主に実務的な結果について書かれているだけで、制度そのものや、後期高齢者医療制度をめぐる今日の動向等についての、総括や評価についてはほとんど触れられておりません。言ってみれば、国の言うままの制度運営でありました。普通地方公共団体であれ特別地方公共団体であれ、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」という基本には変わりはありません。従って、私は、もちろん実務的には制度に基づいて仕事をしなければなりませんが、一方、福祉増進を図る立場から、地方自治体において、政府にも必要な場合には必要な声を挙げ、質すべきはこれを質すという姿勢が求められると考えます。なぜ敢えてこのことを認定できない理由として挙げるかと言いますと、他の一般的な制度や決算と異なり、本医療制度は、国民的には廃止であり、政府においても、見直しの渦中にあるからであります。先ほどの、私の一般質問への答弁の中でも、連合長は「政府において本制度を廃止し、その後のあり方についてとりまとめられた、政府自身が予定していた法案の提出を断念、等…」との紹介がありました。つまり政府自身が混乱と混迷の途上であることが浮き彫りになっているわけであります。ところが、にもかかわらず、日程第7の提案説明の中では「(本制度が)安定・定着」と言われた連合長の認識について、私は理解できません。
 周知の通り、後期高齢者医療制度は、「高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け」とか、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとする」などと、国民の自助・連帯を説き、自らの心身の変化を自覚せよ、費用を負担せよ、医療の給付は適切な水準に、等々との説教とも脅かしとも言える考え方が、その目的や基本理念とされています。こんな露骨な高齢者いじめの法律は全く特異なものです。例えば、老人福祉法が「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする」との考え方と比べても、そのひどさはあまりにも明瞭です。だからこそ、自民公明政権が作った、こんな制度の廃止を掲げた民主党が国民の支持を得たわけであります。即ち民意は制度の廃止なのであります。然るに、民主党政権の対応は如何でしょうか。第一に、この民意を裏切り、自らが国民に約束した公約を反故にするとともに、第二には、廃止の公約を守るかのように見せかけながら、別枠で残したまま国保に合流、その国保をいっそう大改悪しようというのであります。しかしこれで驚くのはまだ早い。第三の問題は、単なる公約違反にとどまらず、何と、選挙中の公約がまずかったと、公約そのものを投げ捨てようとして居直っているという点であります。子ども手当にせよ、高校授業料無償化にせよ、新旧の政権党が、国会の正規の機関ではないところで、民意の沿わない議論を繰り返しているのであります。一体国民は何を信じたらいいというのでしょうか。即ち、このような一連の経過を、本広域連合に当てはめてみますと、本広域連合自体が、第一に公約違反を追認し、第二に国保改悪に追従し、そして第三には、公約放棄にも、追随しているわけであります。従ってここでは、政府・政権党ではなく、本広域連合自体の姿勢が問われています。連合長ご自身の見識が問われています。いつまでも政府に振り回されてばかりでいいのでしょうか。財政は政治の表現でありますから、狭い意味でのお金の報告だけに留まることなく、決算内容について、民意に沿ってこれを分析し、その背景や原因等を明らかにすべきではありませんか。
 結局、後期高齢者医療であれ国保であれ、今日の最大の問題点は、政府がその財政的責任と役割を後退させ、また職域保険で言えば、EU諸国などと比べても事業主負担が少なく、全体としてこれらのしわ寄せが国民・被保険者・患者に押し付けられているところにあると私は思います。しかしもっと言えば、それにもかかわらず、この点での認識と改善方向が横に置かれ、正面から議論されないところにこそ、今日の医療危機の最大の問題点があるとも言えるかもしれません。特別会計の収入のうち、協会管掌健康保険・国保等の医療保険者からの支援金である支払い基金交付金の割合は、実に40%も占め、国庫支出金の30%をはるかに超えています。市町村支出金は更にその半分の16%となっています。保険者からの支援金というのは、各被保険者の保険料のことであることは言うまでもありません。いずれも法定割合通り適正執行の結果であり証であると言われましょうが、私はその法定割合自体を問題にしているわけであります。即ち、前述の通り、「国民の共同連帯の理念等に基づき」、若年層・現役世代の支援金が大きな比重を占めていることが、ひいては、若年層自身の高すぎる保険料の一因ともなっているわけであります。また、以前の国保と老人保健の時代には、各市町村の一般会計繰入金は、直接間接に75歳以上の高齢者にもその成果が及んでいたハズですが、今日、その繰入金相当額がどうなってしまったのか、保険料負担金と療養給付費負担金等だけの項目では、よく読み切れません。また来年度からは保険料改定の時期ですが、これ以上の保険料負担を抑える努力が求められ、そのために、政府等にも強く声を挙げていかなければなりません。
 ざっと、決算書を見ただけでも、このようにいろいろな論点が浮かび上がってきます。自治体の財政資料を住民に分かり易く説明するということが、地方自治体の大きなテーマのひとつともなっています。これは特別自治体であっても同様かと思います。「今後とも高齢者の医療を守るために頑張る」といった一般的な見解ではなく、前述の通り時期が時期ですから、是非政府にも、民意に添った声を挙げられるよう強く求めまして討論とします。