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京都府後期高齢者医療広域連合議会

2013年予算議会での一般質問

No.6

国保広域化を視野に入れた、京都府の、「後期高齢広域連合」への加入意
向に対する疑問

2013年第1回京都府後期高齢者医療保険広域連合議会での一般質問
             '13/2/8  京都市会 井上けんじ
 京都市会から選出されております井上けんじでございます。
 1月30日付、新聞報道によると、「京都府と…広域連合は29日、連携を強化するための協議会を新年度に立ち上げることを決めた」とのことでありますが、まずその経過と位置付け、広域連合の基本的なスタンスについて明らかにされたい。すでに昨年1月に設置された同趣旨の「あり方検討会」については、その後6月に報告書がまとめられ、これは我々にも資料が提供され、8月の本広域連合議会で私もこれについて質問しましたが、その後設置された「連携に向けた懇談会」については何らの報告もありません。私が、経過や今後の方向について明らかにされたいと質問した、その僅か一週間後に第一回の懇談会が開かれ、従って質問当日にはその予定も明らかであったはずなのに、答弁ではその紹介すらありませんでした。直前に他から情報を得て私も傍聴には行きましたが、一般論として、広域連合の主な活動については、今後、議会開催や質問の有無にかかわらず、月例報告というか、折々、議員宛、情報提供すべきではありませんか。これは今回のテーマに限らず、今後、検討されるよう求めます。これについてもご答弁願います。
 さてこの、京都府の意向や本広域連合との関係について、昨年夏、私は、府が国保一元化を視野に入れながら広域連合への加入をめざすというのなら賛成できないと、一元化の疑問点を何点か挙げて質問をしました。連合長からは、おおむね、国保の一元化や健保の一本化を肯定的に評価され、また府の、広域連合へ加入の意向についても、前向きに対応していく等との総括的な答弁を頂いたと理解をしております。そこできょうは、各論と言いますか、一元化と広域化を同じ意味で使いますが、この一元化への私の疑問に対し、それぞれ具体的に連合長のお考えをお聞きしたいと思います。
 第一は、一元化に伴って、現行各市町村国保への一般会計繰入が減らされたりなくされたりする心配はありませんか。私の属する京都市でも、一元化しても従来通りの繰入を続けるかとの私の質問に曖昧な答弁を繰り返しています。政府の広域化支援方針では、「一般会計繰入は、保険料の引き上げ、収納率の向上、医療費適正化の推進等により、早期に解消するよう努めること」と、広域化に伴って繰入をなくすというよりもむしろ、なくすために広域化するとの明確な目的意識をもって方針化しています。政権が変わってこの方針も変わったのでしょうか。私は民主党も自民党もほとんど変わらないと思いますが、まずこの繰入についていかがお考えでしょうか。
 第二に、京都市の場合、国保の一元化のみならず、すべての健康保険の一本化を目指していますが、職域保険も含めた都道府県単位の一本化ということになれば、財界の、事業主負担を免れたいという年来の主張に格好の口実を提供することに通じるのではないかと危惧されます。しかも京都市は「医療保険の一本化とそれが実現するまでの間国保への財政支援の拡充を国に求めていく」と言っています。つまり一本化が実現すれば国の財政拡充は求めないと言っているのであります。国の財政も事業主の負担も、減らされたり無くされたりという方向になれば、保険料の大幅値上げなど、住民や被保険者・患者・労働者にしわ寄せされることは必至ではありませんか。しかもこれが都道府県単位の運営とされれば、各都道府県間での医療費抑制競争がますます強いられることになるのではないでしょうか。国保一元化は健保全体一本化への一里塚だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 第三に、今日の国保の危機と言われるものの最大の原因は、国が必要な財政責任を果たしていないことであり、従って各自治体・保険者は、この点に的を絞って声を挙げなければならないのに、一元化とか一本化とかを掲げることによって、結局この課題を曖昧にし、結果として政府の責任を免罪していることにはならないでしょうか。仮に一元化しても一本化しても、国や大企業が本来の社会保障への財政責任を果たさないままではうまくいかないことは必至であり、結局それは国民相互間でのやりくりの域を出ないことは明らかです。この点についてもお答え下さい。
 第四に、国民健康保険は保健医療活動・予防活動などと相まって、また保険料納付相談なども含め、身近な市町村で運営するのが、地域住民にとっても、より安心できるのではないかと思います。だからこそ歴史的にも市町村が担ってきたのであって、この仕組みを今すぐに変えなければならない理由は無いと考えますがいかがでしょうか。
 第五に、一元化広域化が、単に保険者をひとつにして保険単位を大きくするというに留まらず、保険給付適正化と称する医療給付費抑制策とセットになっているからであります。京都府広域化等支援方針には「一元化し、府がその運営に参画することにより…医療提供体制、医療保険、健康推進等の保健医療政策全般の一体的運用ができる体制を構築し、医療機能強化に取り組むとともに、医療費の効率化、…」等々と書かれています。この方向は、医療提供体制の縮小や保険の運用・医療費の管理等、もっと幅広い総合的なルートを通じて医療給付費削減策を進めていこうとするものに他なりません。政府の医療費削減策とも軌を一にし、しかもこれを先取りしたものであります。
 連合長は、国保の一元化広域化との京都府の方針に、大筋で賛成との趣旨の答弁をすでにされていますから、なぜ一元化広域化に大筋賛成なのか、以上五点の私の疑問に対し、それぞれ如何お考えか、ご答弁を求めます。
 昨年夏のご答弁では、市町村の負担増にならないこと、広域連合の保険者機能の向上、高齢者医療制度の安定的運営、との留意点を挙げられましたが、むしろ、住民・被保険者への負担増にならないこと、との留意点が必要ではありませんか。この観点も踏まえてご答弁頂きますようお願いしたい。
 ところで、今日、地方自治体のあり方をめぐっていろいろ議論されておりますが、私はそんな自治体の形云々よりも、交付税の増額、国のナショナルミニマム保障の責任を前提とした自治権の拡充、団体自治住民自治の充実など、自治体の中身作りこそが求められていると思います。京都市長は特別自治市と言っておりますが、これは府からの独立という意味とのことであり、また知事も、現在の都道府県制のままでいいとは思っていないなどと言っておられます。府単位の一元化とか広域化とか言いながら、一方で、一体なぜこんな議論が出てくるのでしょうか。私にはさっぱり分かりません。最後に、全く整合性に欠けるのではないかということを指摘して質問を終わります。