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本会議討論

「放置自転車条例の改正」について

No.11

「放置自転車条例の改正」について

 私は、議第98号「京都市自転車等放置防止条例の一部を改正する条例案」について、討論をおこないます。

 議案そのものには賛成ですが、同時に、放置自転車等をめぐるいくつかの課題・論点について、問題提起をさせていただきます。

 まず自転車の位置付けです。建設省では自転車走行環境確保のための方策が検討されていますし、また総務庁でも利用の促進に関するアンケートが実施されるなど、建設省調査報告書から引用しますと、「都市交通の主要な交通手段のひとつとして利用促進が求められている」という機運が盛り上がっています。本市の「自転車総合計画」でも「本市では自動車交通に過度に依存しない公共交通優先型の交通体系を確立していくことを目指しており、これまで自動車を中心に利用されてきた都市の道路空間を公共交通、徒歩、自転車を中心に再配分する必要がある」「環境にやさしく手軽で便利」で「これからの社会にふさわしい交通手段」であり「今後より一層利用環境の整備を進めていく必要がある」などと書かれています。これを言葉だけのものにしない努力とともに、この観点を今後の自転車施策に積極的に生かしていくことが求められています。

 従ってこの原則から導き出される第二の討論テーマは、放置自転車対策を単に利用者のマナーの問題だけに解消したり、また取り締まりや撤去の方法や技術的なあれこれだけに解決策を求めようとしたりしても、それだけでは決して十分ではないということであります。一方では、本市の「総合計画」でも集客施設など「駐車需要の発生原因者としての責任」について書かれている通り、この責任をきちんと求めること、またもう一方では本市自身の努力によって駐車場または駐車スペースを確保することなどにいっそうの努力が払われなければなりません。

 そこで第三に、まず一方の発生原因者の責任についてです。今回の条例改正案でも施設への付置義務も提案されている通りですが、しかし「総合計画」ではこの発生原因者責任について書かれているのは商店街についてのみであり、また条例案も「総合計画」も、いずれも鉄道事業者については極めて及び腰です。鉄道事業者については、改正されて一歩前進とはいえ「自転車法」自身がいわゆる「努力義務」にとどめているという制約はありますが、運輸省通達の趣旨からいっても、もっと強く協力と責任の発揮を求めるべきであります。この通達では鉄道事業者に対し、「単なる協力者として受動的な立場で対応するのではなく、自らも主体的に取り組むべき」と言っています。

 例えば近鉄の東寺駅鴨川間の高架工事が進められていますが、高架下の土地持分は近鉄が85%、本市が15%といわれています。市の持分部分だけで駐輪場を作ろうとすれば、それだけで市が他に活用できるスペースはなくなってしまうばかりか、必要な広さの駐輪場さえ確保できません。本市の持分の土地を活かして公園や集会所を望んでおられる地元市民の要望に応えるためにも、近鉄持分の土地に駐輪場を作るよう強く求めるべきです。JR西大路駅についても、地元の皆さん達の大変なご努力やご協力などによって駐輪場ができましたが、既設駅とはいえJRの主体的な参加と積極的な責任の発揮はかならずしも十分ではありません。また地下鉄については本市自身が鉄道事業者であります。いっそうの努力を求めるものであります。

 第四はもう一方の本市自身の問題ですが、委員会審議の過程でも、例えば川崎市などのように道路を整備して駐輪スペースを作れないかどうかとか、また保管場所についてもさまざまな問題点があること、なども明らかになりました。例えば久世橋御前保管所は高速道路関連の敷地を、別に高速道路のためにつかうべきだと言ってるわけではありませんけれども、いわば一時的に使っているだけであり、そもそも、撤去計画自身が保管場所の収容能力に制約されざるを得ない、場所が非常に遠くて不便であり、特に老人などにとっては取りに行くのが大変など、言ってみれば場当たり的な対応に追われているといった現状が浮き彫りになりました。「総合計画」の推進期間が10年というのも長期的すぎるという議論もありました。市民からも、駐輪場を作らないでただ撤去するだけでは解決しない、もっと計画的に作って欲しいという声も出されています。

 委員会での答弁では、原動機付自転車については、まず京都駅周辺から試行的に実施するとのことでしたが、少なくとも駅八条口では原動機付自転車の正式な置き場がアバンテイの地下であるなどということを知っている人はほとんどいません。近鉄名店街前は自転車専用ですから、駅の西の方面から来る人にとっては、事実上、原付の置き場はないに等しいのです。置き場があるのにそこへ入れずに放置しているわけではありませんから、よほど事前の周知や予告を徹底しないと大きな混乱が生じるおそれがあります。十分な検討と準備が必要であると思われます。

 また啓発員の配置についてですが、緊急雇用特別交付金を使って今年度と来年度の二年間のみ16の駅に配置するとの計画になっていますが、再来年度以降も国への要望を強めまたは本市独自の財源措置でぜひ継続されるように要望しておきます。

 施設の設置や維持管理などへの国の財政支援を強めるよう求めること、利用料や撤去保管料に学生などへの減免も検討することなども今後の課題であると思われます。

 最後に、私はいわゆるマナーの問題も、啓発活動の強化とともに、本市がこういう前向きの努力をしていけるかどうか、市民を信頼し、条件と環境を整備していこうという本市の姿が市民の目に見えていく中でこそ一歩一歩改善されていくものであると確信をしています。

 以上、議案への賛成討論といたします。