2002年度国民健康保険事業特別会計補正予算について
No.8
日本共産党市会議員団は、議第50号、2002年度国保事業特別会計補正予算案については賛成です。しかし繰上充用はあくまでも問題の先送りでしかありませんし、特に2002年度予算は若人分・退職分給付費が11ヶ月予算となっていますから、さらなる累積赤字となって来年度に先送りされることは明らかであります。そこで我が党議員団は付帯決議を提案しておりましたが、私は、その趣旨も踏まえ、今日の国保行政の問題点にかかわって、討論をおこないます。
まず第一に、今日の国保問題の最大の焦点は、政府が国庫負担割合を減らしてきたこと、特に1984年に医療費の45%から38.5%に減らしたまま今日に至っていることであります。国庫負担の復活増額が焦眉の課題になっていることは16日の予算委員会で自民党委員からも強調されたところであります。国保法第4条では「国は事業の運営が健全におこなわれるように努めなければならない」と国の責任が明確に謳われています。自治体から国への要望は国庫負担復活を正面に掲げ、45%に戻させるべきです。
特に、今、政府がすすめようとしている医療「改革」案は、国民全体への大幅負担増、深刻な受診抑制、医療機関の存亡の危機、入院が6ヶ月を超える場合の追い出しで「入院難民」といわれる事態が危惧されるなど、国保制度も打撃的な影響を受けることは明白であります。当面、診療報酬引き下げの見直し、国庫負担復活や高い薬価の是正などが必要です。
第二に、本市自身の問題です。国保法第一条の「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」という目的が本当に正面に座っているのでしょうか。保険料の応益割のみの世帯や減額世帯が6割前後を占めるなど、低所得階層や高齢者の割合が増加しています。こういう構造的矛盾が明らかなのに、「助け合い」ばかりが強調されています。昨年保険料が値上げされ、一般会計繰入金も昨年度と同額です。保険料応益割合も増やされてきましたし、保険料や一部負担金の減免も申請しにくくなっています。所得に占める保険料の割合が階層によっては15%をも超えています。保険料が高すぎるため、払えない方が増えています。短期証や資格証、未更新の世帯が7.5%も占めており、無保険の人たちもおられます。制裁強化は給付からの締め出しそのものですから、この方向は保険料収入を増やすよりも、いっそうの空洞化・皆保険制度の崩壊への道、制度破綻と不安定化への道に他なりません。保険料と一部負担金の軽減が必要です。減免の拡充や丁寧な納付相談など、まず保険証を発行して市民の医療を守ることを優先すべきです。憲法や法第一条の精神を事業の根幹に据えるように強く求めるものであります。
第三に、「安定化」の名による受診抑制の道ではなく、市民のいのちと健康を守る施策を充実させるべきです。在宅福祉・在宅医療、保健事業や公衆衛生の充実、保健所・福祉事務所・長寿社会課ばかりでなく、民間の介護保険事業者や医療機関等との連携、またそのために保健師やケースワーカーなどの増員など体制の確保と充実をはかり、いつでも安心してお医者さんにかかれる早期発見早期治療こそ結果として医療費軽減への道であると確信をするものです。
最後に、今日の国保の危機的現状を打開するためには、我が党が提案した付帯決議の通り、国庫負担の削減をはかってきた国の責任を明確にし、必要な財政支援を求めることであります。ところが「保険制度の一元化が必要」との意見書が、自民・民主・公明の各党から共同提案されております。しかし一元化方式は5割給付案も含めて低い方へ合わせようというもので、高齢者からも保険料をとりたて、全体として公費と企業の負担軽減、国保被保険者の負担増という方向で検討されているものであり、とうてい賛成できるものではありません。併せて意見書案に反対の理由も申し述べまして、討論といたします