奨学金制度の拡充を求める意見書についての討論
No.7
公明党提案の「奨学金制度の拡充を求める意見書案」について賛成ですが、ただし、前文の中でいくつかの意見がありますので、その点を指摘して討論とします。
まず第一に、「わが国の公的奨学金制度は年々充実しつつある」と書かれていますが、確かにその限りでは幾つか改善されたような部分もありますが、それらはいずれも有利子の奨学金についてであり、全体的な流れを見れば、有利子奨学金に偏り、逆に無利子奨学金が縮小されてきているのが大きな特徴であります。行政改革推進事務局の方針は、無利子の奨学金の枠を絞っていくというものであり、実際、すでに今年度予算でも無利子枠が1万6千人分も減らされています。有利子奨学金偏重の傾向が明らかであります。かつて1984年、参議院本会議で、「無利子枠の削減」構想について、公明党の当時の高木健太郎議員も「総額を増やして一見改善に見せつつ、一方では有利子を導入するというのは、羊頭狗肉」だと批判されておられたではありませんか。
第二に、日本育英会の廃止を評価した文脈になっていますが、「公的奨学金制度をさらに充実させる」というのであれば、なぜ育英会を廃止するのでしょうか。育英会を発展させることこそが充実させるための組織的裏付けではありませんか。独立行政法人化されれば利子が高くなるおそれがありますが、最初に指摘した通りすでに有利子奨学金に偏った方針により、このおそれが現実的な心配になっています。行革推進事務局は、利子についても市場の相場に合わせていくべきことを文部科学省に迫っており、今後、独立行政法人のもとで、利率が引き上げられることに全く何の歯止めもありません。
特に無利子の奨学金制度を抜本拡充すること、など4点の項目をはじめ、意見書全体には賛成ですが、以上に述べましたいくつかの点について指摘をして討論とします。ご静聴ありがとうございました。