2001年度決算についての討論
No.6
日本共産党は、2001年度各決算のうち、報第10号一般会計決算、報第12号国民健康保険会計決算、報第13号介護保険会計決算、及び報第20号駐車場会計決算については認定しない、その他の各決算については認定するとの態度でありますから、私は、四つの決算を認定しない理由について、議員団を代表して討論します。
まず報第10号一般会計についてです。
第一の理由は、倒産や廃業の増加など今日の深刻な現状に対して、借換融資制度の創設はあったもののまともな中小企業支援や不況対策が打てていないからであります。中小企業支援センターの予算が減っており、じか貸し制度も保証人の確保や利子の高さなど条件が厳しく、もっと使いやすい制度への改善が必要です。貸し渋り・保証渋り・貸し剥がしの実態も深刻で、多くの業者がサラ金や高利金融に走らなければならない実態があるのに、本市の対応はこれに応えるものにはなっていません。雇用対策も国の緊急交付金活用の範囲に留まり、本市独自のもっと臨機応変な対応が必要です。事業所実態調査は相変わらず拒否し続け、地域経済振興条例の制定にも後ろ向きです。借りやすい融資制度、各種中小企業や商店街へのいっそうきめ細かい支援策こそが求められているのに、本市の経済政策は一部の大企業重視、南部地域への誘導策など非常に偏ったものになっています。住宅改修助成制度も府内のいくつかの市や町で成果をあげてきているのに、本市ではこれまた後ろ向きの姿勢が続いています。
また信用保証協会から市長の政治団体への政治献金もこのたび発覚しました。法違反として厳しく指摘しておきます。
第二の理由は、2000年度に決められた上下水道料金の値上げの実施に続き、2001年度でも国民健康保険料やごみ処理手数料の値上げ、保育料の事実上の値上げなど市民への負担増が、いわば年中行事ともいえるほど恒常化し、一連の流れとなって押し付けられた決算となっているからであります。
今日、市民のまことに厳しい生活実態は繰り返すまでもありませんし、また倒産・廃業、失業など、各種の指標も過去最悪となっています。
まして政府においても、医療費負担の引き上げや庶民増税の方針などもはや耐え難い負担増のオンパレードとなっています。結局は、個人消費を冷え込ませ、ひいては不況の最大の原因となっています。本市の一連の公共料金の引き上げや市民税軽減措置の見直し、またこの10月からの老人医療の大幅値上げに対しても自治体としての有効な手が打てていない現状などは、この国の動きに輪をかけるものであります。市民への負担増と、消費を冷え込ませて不況に拍車をかけるこんなやり方を認めるわけにはいきません。
第三の理由は、このように市民には痛みを押しつける一方で、市内高速道路計画など大型事業のムダ使いをすすめている決算であるからです。市長総括で副市長は「高速道路の負担は100億円程度」と現行の出資金だけに限定して少なく見せようとしていますが、実際は出資金だけでなく、ランプ工事費用や関連街路工事など、ここ数年だけでも直接間接の費用負担が膨張し続けています。更に今議会でも、理事者は今後の費用の膨張を否定できませんでした。
この高速道路関連予算のために生活道路の整備が凍結されてしまっているなど、すでに直接的に生活環境整備に影響が及んでいます。我が党は従来から、公共事業を大型開発・環境破壊型から、市営住宅や福祉施設、生活道路整備など生活関連生活密着型に切り替えるべきであると提案してきました。そのことによって、直接的に市民生活の向上をはかるとともに、総額を抑制し、更に身近な仕事であることから地元中小企業への発注も増えるなど一石三鳥の効果があります。全国各地でも大型事業への見直しが相次いでいる今こそ、本市でもこの方向へきりかえるべきであります。
第四に、ゆがんだ同和行政の継続、談合と不公正な入札、汚職問題であります。そもそも今議会での最大の焦点のひとつは、驚くべき同和行政の腐敗ぶりがまたぞろ明らかになったことと、外部からの圧力の介在など入札をめぐる一連の不祥事の存在であります。解放同盟への補助金不正支出については、重大な監督責任があると市長が認められました。今後は調査委員会での厳正な調査が求められます。ところが市長や副市長は裁判の進行を見守るとか、何と企画推進委員会に「今回の事件について協力を求める」などと答弁されておられます。事件の当事者と同じ団体と一緒に企画推進委員会を開いてでどうして真相究明ができるのでしょうか。当面、裁判の進行とは独立して、本市独自で真相の解明と補助金の返還請求が求められています。この際、奨学金の継続や企画推進委員会への参加などもきっぱりとやめるべきであり、また人権の名による同和行政の継続もやめるべきであります。
また入札制度についても都市計画局だけの問題ではなく、上下水道局をはじめ、全庁的な実態の解明と再発防止への市役所あげてのとりくみが必要です。特に、外部からの圧力といわれている実態については、この際、徹底して市民的に真相を明らかにしなければなりません。更に同和地区での建設協同組合による異常な契約の実態も明るみに出ましたが、これも合わせて改善が必要です。
加えて、伏見区の醍醐石田地域では地元役員と本市各局から参加した市職員が、一緒に温泉へ出かけているという事実も明らかになりました。地元からの依頼で醍醐支所が直接各局へ連絡して参加するとのことですが、市内どの地域でも自分たちの温泉での会合に、依頼しさえすれば、20数人もの市職員を呼べるのでしょうか。しかも参加した職員は日帰りでも3万円もの参加費を地元に払っているとのことであります。こんな地元対策がいったいどこにあるでしょうか。我が党は、この問題についても引き続き真相解明を求めるものであります。
合わせて、財政運営について一言指摘します。税収が一部企業に依存する傾向が強く、これらの企業の業績に大きく左右されやすい体質に陥っていることが特徴です。この点からも、広く担税力を高めるように、多数の地元中小企業・地場産業を幅広く支援する産業政策の充実策が求められています。また地方交付税や府支出金など国・府からの財源が対前年度比133億円も減っており、これも本市財政を困難にしている大きな要因のひとつでありもっと声をあげていかなければなりません。市債発行額も84億円増え、伸び率も政令市第三位、766億円にものぼっています。一方、借金返済の公債費は前年度からさらに20億円増え845億円、「10%を超えないことが望ましい」とされている公債費比率は18%にもなっており、借金依存体質、財政硬直化などますます将来への不安が募ります。2001年度末の市債現在高は前年度末より更に258億円増えて9844億円、市民一人当たり67万円もの借金になっています。
また塩漬け土地についても、取得時の見通しの甘さや当初の利用目的がなくなった土地をその後も放置しているなどの問題点があきらかになっており、議会でのチェックが働くようなしくみを確立すべきです。
もともと昨年春の予算議会当初から、我が党は、2001年度予算案がムダで不必要な分野に浪費する一方で、市民には財政危機を口実に、市民に負担増を押しつけるものであると、組み替えの方向も提案しつつ、予算案には反対の態度をとりました。今、決算の時期を迎え、当時の我が党の態度と主張がいかに正しいものであったか、改めて浮き彫りになっています。また国民健康保険や介護保険についても、我が党は昨年3月の予算議会で積極的建設的な提案をおこなってきました。
そこで、報第12号国民健康保険会計決算についてですが、これは前述の通り保険料の値上げの決算であり、一般会計からの繰り入れを増やしたとはいっても、市民一人当たりの保険給付費等繰入金は政令市で前年度の最下位から辛うじて下から二番目になっただけで全く不十分です。79億に増やしたとはいうものの、今日よりも給付費がずっと低かった7〜8年前もすでに70億円代の繰入は実績があり、ここ数年減らしてきていたのを元に戻しただけではありませんか。保険料を払いたくても払えない市民が増え、一方、制裁措置が強められ、また一部負担金減免の運用も厳しくなっています。更に、国が負担を減らしたことにもっと的を絞って要望しなければならないのに、一元化をめざすとか、かっこ付きの医療改革に期待するとか、要望の的がはずれていることも問題の本質をそらすものであります。自民党公明党の7月可決10月実施などの無謀な経過に責任があることは当然ですが、老人医療の値上げに対し、限度額を超えた場合の委任払いや、せめて貸付の実施をすべきであり、償還払いの手続きのシステム確立も大幅に遅れていることも大きな問題です。
また報第13号介護保険会計決算は、措置時代に比べて国が負担割合を大幅に減らし、助け合いの名のもとに被保険者同士に負担を押しつける、しかも給付が増えれば自動的に保険料にはね返るなど制度の矛盾に全く批判的な視点がなく、そのことが、来年度からの保険料大幅値上げの動きに連動しています。法的拘束力は全くない政府の三原則を、むしろ市理事者が政府以上に強調しているようでは、高い保険料利用料負担に苦しんでいる市民からさらに浮き袋を取りあげるようなものではありませんか。
なお、今年度補正予算案のうち家族介護慰労金の減額補正は、制度上対象者が明確なのに本市が通知徹底を怠ってきたために適用が大幅に落ち込んでいるものであり、きちんと案内すべきであることを申し添えます。
報第20号駐車場会計決算は、収入は前年度より増えており、営業努力は認められますが、駐車場費用は増加しており、またそもそも大規模開発にともなう大規模施設となったために、13億円を一般会計から繰入れている一方で、公債費が15億円と借金返しにおわれており、多額の財政負担をひきずるものとなっています。
なお報第21号土地取得特別会計については、認定はしますが、産業支援等複合施設整備のための土地取得が含まれており、これは呼びこみ型の都市再生をすすめるもので、市内高速道路油小路線と一体のものとして計画されており、また手続き的にも経過が充分明らかでないなど、この部分に限っては認めることはできません。
以上をもって討論とします。