国保、介護保険補正予算についての賛成討論/赤字の先送りでは問題の根本的な改善ははかれない
No.5
日本共産党市会議員団は、議第72号、2003年度国民健康保険事業特別会計補正予算案、及び、議第73号、2003年度介護保険事業特別会計補正予算案に対し、会計処理上の手続きとして必要なものであり賛成です。しかし国保にしろ介護保険にしろ、こういう赤字の先送りで問題の根本的な改善がはかられるわけではありません。
そもそも病気やけが、高齢化などの場合に誰でもが、安心して治療や介護が受けられるようにするのが社会保障の役割ですが、今日、保険料や一部負担金、利用料などが高すぎて払えない、治療や介護が満足に受けられない、受診抑制、重症化など、その本来の役割が十分に果たせていないことが大きな問題になっています。
まず国民健康保険についてですが、第一には国の責任を明確にすることです。今年3月末に決定された政府の基本方針によると、老人の独立保険、若人からの連帯保険料の徴収、都道府県単位での保険の統合などが打ち出されていますが、国の財政負担が増えるわけではなく、むしろ国民の負担増が危惧されています。国の責任を棚上げしたままでの医療の抜本的改善は不可能です。全国知事会のアンケートでもすべての都道府県が統合に反対しています。市長も「一元化」などと言っていないで、まず何よりも国保への国庫負担を元に戻す要望を正面に掲げ、国庫負担復活をきっぱりと求めるべきです。第二には、市独自の責任と問題点についてです。まず一般会計からの繰入金ですが、これには国からの保険基盤安定繰入金を含んでいますから、これを除いた独自の繰入はむしろ減らしているではありませんか。市独自の繰入金の市民一人当たりの額は政令市の中でも最低クラスとなっています。せめて他都市並みに繰入れるべきではありませんか。
さらに市の方針では、「徴収率向上のため、…資格証・短期証の効果を最大限に活用し納付指導の強化をはかる」とのことですが、これではまるで脅迫ではありませんか。保険証を交付すること、払える保険料にすることなど、まず市民の命を守ることを第一義的な前提にしなければなりません。方向の根本的な転換を求めるものです。
次に介護保険会計についてです。繰上充用の理由として、第一に国庫負担金及び第2号保険料の交付額が必要額を下回ったこと、第二に調整交付金の交付率が見込みを下回ったこと、そして第三に、第一号保険料の調定額が減少したこと、との三点が挙げられています。第一の問題については今年度中に精算される予定とのことですが、第二・第三については、過年度保険料の徴収をもって充てるとされています。しかし補正額に足りるだけの保険料が得られるかどうか、その裏付けはありません。またそのことを追及しようと思えば、とりたてをいっそう強めることになるでしょう。払えない実態があるからこそ未納なのです。まして年金値下げの中で、1.3倍、一年で30億円、三年間で90億円規模の大幅な値上げは、いっそうの保険料滞納者を生み出しかねません。また当面の値上げ幅を少しでも緩和するためとはいえ、社会福祉事業基金からの借入れも、結局は将来の保険料にはね返ってくるしくみとなっています。まず第一に、高すぎる保険料そのものを引き下げるべきです。そのために一般会計の繰入について、本格的に検討すべきであります。また第二には、制度発足時に国の負担割合が1/2から1/4に減らされていますから、まずこれを元に戻すこと、当面、全国の市長会などでも一致して声の挙がっている、調整交付金を外枠とすることなど、政府にもっと強力に要望すべきであります。以上、強く求めまして討論といたします。