国民健康保険に対する国庫負担増額を求める意見書についての討論
No.21
国保への国庫負担増額を求める意見書を提案、討論
日本共産党市議団として標記の意見書案を提案、一方、自民・民主・公明三党は、国保の改革と国庫負担増額を求める意見書案を提案、私は、前者に賛成、後者には反対の立場から討論しました。結果は共産党案は少数否決、三党案が多数可決となりました。三党は、国庫負担増額とも言っておきながら共産党案に反対するという全く不可解な対応でした。
討論に先立ち、東日本大震災の被災者・関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
日本共産党は、国民健康保険に対する国庫負担増額を求める意見書を提案しておりますが、一方、自民民主公明三会派からは抜本改革と財政措置拡充を求める意見書案が提案されています。私は日本共産党案に賛成、三会派案に反対との立場から討論します。
日本共産党が、国庫負担増額を求める一点に絞って提案をしておりますのは、これなら全会派が一致できると考えたからであります。意見の違いは横に置いて、一致点を大切にして力を合わせ、国に対し、一緒に声を上げようという趣旨からでした。三会派案は、国庫負担増額については、表題と末尾に触れられているだけで、むしろ制度の抜本的改革というものが中心になっており、しかもその改革とは、一本化をめざすというものであります。当面は国庫負担増額が最重点課題ですから、この点にこそ的を絞るべきです。
そこで、ここ最近の委員会などでの議論を紹介します。第一に一本化の前段として市長が掲げる京都府段階での広域化になれば現行の一般会計繰入がどうなるのかとの私の質問に対し、理事者は繰入がなくなってしまう可能性を否定されませんでした。政府も、広域化に伴って繰入はなくせと言っています。77億円が無くなり保険料にしわ寄せされるとすると、一世帯3万3千円以上、148億円が無くなると6万4千円以上もの値上げになってしまいます。第二に、財界は事あるごとに健康保険の事業主負担を免れたい減らしたいと言っておりますが、一本化になれば絶好の機会とばかりに、これをなくしてしまう虞も否定できません。この点についての私の質問に対しても、「それも大きなテーマになってくるだろう」と、まるで馬耳東風、他人毎のような答弁で、これまたその危惧を否定されませんでした。
更に、今でも国は必要な財政措置を怠っているのに、広域化や一本化の段階なら措置するのか、その裏付けはあるのかとの質問に対しても、「広域化すれば財政支援が増えるという安易な考えはない」と、むしろ増えなくても構わないかの如き答弁でありました。しかも本市発行の「国保だより」では、国の財政支援を求めるのは「一本化までの間」と書かれています。一本化すれば国の支援が増えるどころか、要求さえしないと市長は言われているのであります。こういう状態で一本化すればどうなるのでしょうか。一般会計繰入もない、国の財政支援もない、事業主負担もない、こうなれば現行国保被保険者も労働者も、いずれも大幅値上げは必至ではありませんか。これが負担の公平化の正体であります。三会派案はこれ以上被保険者に負担を課さない制度の構築と言っておきながら、全く何の根拠も脈絡もなく一本化先にありきの結論になっています。こんな提案にどうして賛成できましょうか。結局これでは、今日の国保の最大の焦点である、財政措置拡充の要求を後景に押しやり曖昧にするだけであります。
私たちは従来から、国保の危機打開のためには、国が必要な財政負担の責任を果たすことこそが最大且つ緊急の課題であることも指摘をしてきました。そしてこの点については市長も同じ立場であると思うからこそ、単なるお願いではなく、根拠を持って実態的にも理論的にも、脇を固めて理詰めで国に迫る必要があると提案をしてきました。そこで私は、市自身が発行している「国民健康保険事業状況」という資料を引用し、この資料にも書かれているとおり、国及び府支出金が、1994年度では、44.0%だったものが、2009年度では30.7%にまで大幅に落ち込んでいるなどの数字を紹介して、国への要求に活かすべきだと呼びかけて参りました。然るにこの時の委員会での答弁は、何と「制度が変わっているので一概には言えない」という驚くべきものでした。一体どうしたことでしょうか。市長が作った資料ですよ。市長は本当に国に対し財政支援措置の拡充を求めていく気があるのですか。本気の度合いが問われています。だからこそ議会がしっかりした方針を立てて市長をチェックしなければならない。今求められているべきは、国保の最大の構造問題である国の財政責任、これを復活させ、増額させることに的を絞って声を集中させることではありませんか。民主党も、政権をとれば国庫負担を9千億円増やすと言ってきました。公約は守るべきです。日本共産党案を議決し、まず議会がこの点で力を合わせ、市長や他都市にも呼びかけその立場に立つよう求めていくことこそが、目下の焦眉の課題であることを重ねて強調して討論とします。