市議会代表質問
No.647
近日中に、別項「議会論戦」の欄に、市長らの答弁要旨も併せてアップしますが、とりあえず質問について、以下、紹介します(5月22日)。概要は、同じく別項の「議会報告ビラ」欄のニュースでも紹介させて頂いておりますので、是非ご覧下さい。
「
南区から選出頂いております日本共産党の井上けんじでございます。新型コロナウイルスによる犠牲者及びご家族の皆さん、感染された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げ、また特に医療衛生分野をはじめ、各分野で夫々頑張って頂いている関係各位に心より敬意を表します。一つには検査を増やし全体を把握することや医療提供体制を強めること等、命と健康を守り一刻も早い収束を目指すこと、二つには現局面でとにかく市民の暮らしと営業を守ること。これら二つの課題への対策の充実強化が緊急に求められています。医療等の課題については先程蔵田議員から質問がありました。私からは第一に暮らしと営業を守る当面緊急の課題について、及び第二に今回のコロナの問題から振り返って今後の市政に生かすべき教訓について、以上二点について議員団を代表して市長に質問します。
1、大きな第一に、暮らしと営業を守る緊急課題についてであります。
まず政府の対策については財政出動が貧弱で、その前提として国民の暮らしと営業の切実な現状についての認識が浅く、自粛要請するなら補償の裏付けをという大原則が欠落しています。V字回復等と言っている場合なのか。終息後の消費喚起キャンペーンに1兆7千億円も充てる、大企業には返済無用、中小には返済とか高いハードルとか、この期に及んでも大手優遇の姿勢が続いています。韓国では軍事費を削って対策費を捻出、一方、アベ内閣はこんな時期に憲法改悪とか司法への介入とか、筋違いも甚だしい。
持続化給付金は減少率50%の要件を緩和し、またフリーランスの皆さん等対象を拡大すべきです。減少率に応じて給付金額を調整し、また申告方法に拘らなければいいだけです。事業を続けられるかどうかの瀬戸際ですから、一回切りでなく継続して支援できるよう政府にも声を挙げるべきであります。雇用調整助成金の申請窓口は一杯です。受付体制の拡充、審査は後回しにするなど手続きの簡素化をはかる、上限額アップ、労働者が直接申請できるルートも設けること、また非正規不安雇用労働者への対策も必要です。地方創生臨時交付金は、使い途自由とすることや抜本的な増額をもっと強力に求めるべきです。
大企業内部留保金の社会的活用も必要です。留保金460兆円を仮に各自治体に人口按分で配るとすると、京都市には5兆3682億円、一般会計7年分。仮に全国民に分配するとすると365万円。勿論これらは単なる計算にしか過ぎませんが、元々下請け中小企業と労働者が創りだしたものですから、大企業に社会的役割を発揮して頂く一環として、コロナ対策については活用を求めるべきであります。
大手金融機関にも、この際社会的役割の一層の発揮を要請すべきだと考えます。融資に際しての諸要件の緩和や、既存の債権についても猶予や返済条件変更等々、融資希望者や債務者の願いと実態に沿った臨機応変の対応を求めたい。事業者が倒産廃業すれば、不良債権となってしまいます。
京都府の休業要請対象事業者支援給付金は6日までに休業した事業者だけが対象ですが、休業要請期間が今月一杯まで延長されていますから、その後の休業も対象とされるべきです。より国民に身近な基礎自治体として市長は、以上に述べた諸点について、国や京都府等に強力に要求し声を挙げ改善を求められたい。これらの点についてお答え下さい。
一方本市自身の対策は如何でしょうか。中小企業等緊急支援補助金は申請期間は今回は僅か5日間だけでした。申請できていない事業者が残されているのではありませんか。継続的に支援すべきです。その際売上げ50%以上減少との要件の緩和を求めます。減少率に応じて補助額を加減すればいいだけです。何か対策を打った費用の事後的補助ではなく見積もり段階で補助すべきです。もっと言えばそもそも何かコロナ対策を講じた費用の補助とかではなく売上げの減少自体を対象に補填する、単純明快な給付制度を創るべきです。
家賃等の固定費への要求も切実です。収入が減っても定額の義務的支出だからこそ文字通りの固定費ですが、その財源がありません。今正に廃業寸前の瀬戸際です。またオーナーにとっても固定資産税は猶予とはいえローンや施設維持管理費等の支払いができず今のままでは店子と共倒れです。他の自治体でも既に事例がありますから、本市でも緊急に支援すべきです。
更に10万円の特別定額給付金は最優先で急がなければなりません。遺漏対策も必要です。DVや各福祉施設病院等へ入所入院の人たち、生活保護受給世帯、更に家のない人たち等々、漏れなく且つ早く届けなければなりません。高齢者の皆さんなど間違って希望しない欄にチェックしてしまうと大変です。証明書も必要です。あらゆるケースの想定と準備万端を求めます。
またどの制度でもそうですが、既存予算の範囲内で申請に応じて按分するというやり方ではなく、実態と必要に応じて予算の追加も考えるべきです。
5月補正の魅力再発見予算は、外出自粛緩和を見据えてとか奥深い魅力云々等とのことですが、今大事なのは緩和とか魅力の深い浅いとかではなく今日と明日、今の今の生活です。先程来強調しているように、売上げ減少に、直接補填する制度とすべきです。
そこでお聞きします。\萃述べた国や府の施策に対し、要件の緩和や額の上積み等、市として上乗せすべきこと、中小企業等緊急支援補助金の再募集と拡充、8把衄駟篏、ど要に応じた予算の追加、10万円給付金の支給を急ぐべきこと。 以上についてお答え下さい。
「八条口で3時間待ち、やっと乗ってもらえたと思ったらワンメーターでガックリ、観光バス会社ではバスを売って当座の資金に充てている、春の予約が全部キャンセル、取引先の休業でこっちもストップ、連鎖だ。店を開けていても客はほとんど来ない。家賃が払えない、私らのように個人で仕事している者にとってはどの制度が使えるのか。派遣だが契約期間以前に切られてしまった。自粛不況で路頭に迷う人が増えていくのでは」等々、観光・交通・土産物・旅行代理店、商業・製造業サービス業接客飲食各種イベント建築、医療介護、お葬式結婚式の簡素化で葬祭業も然り。青年学生、非正規派遣。あらゆる分野・業界から切実な声がひっきりなしに寄せられています。
文化関係でも切迫しています。文化芸術スポーツは人間生活にとって不可欠の要素ですが、それらを担う関係者関係団体は、所謂裏方さんも含め非常に裾野が広く、無名の関係者の皆さんが普段から不安定な収入の中で市民の文化的な生活を支えておられます。支援が貧弱過ぎます。諸外国と比べても日本政府の対応はあまりにもお粗末です。国にも声をあげつつ市長の英断も求められます。奨励金だけに留まらず、文化芸術とその担い手の存在自体存続自体、活動と生活自体への裏付けが必要です。実態に応じ、キメ細かい対応と柔軟な支援策の創設と運用を求めます。この点についてもお答えください。
相談窓口の在り方についてもお聞きします。医療、融資、補助金給付金、保育教育、仕事雇用、アルバイトや勉強、保険料や税金等々、市民の要求は実に様々で、まことに切実です。市においても必死に対応してもらっておりますが、一方、電話が繋がらない、申込みまで相当期間待つように言われた等々、厳しい実態に十分応え切れていない面があるのも率直な現状であります。相談について三つお聞きします。
(1)相談体制改善の一つは、混んでいる部署への電話回線と体制の増強であります。緊急に手を打つべきところへは手を打つ、具体的、臨機応変の体制補強を求めます。
(2)二つ目は、プライマリ相談というか、最初の窓口を市が直接対応して交通整理を図る仕組みを求めたい。どの制度が使えるのか、どの制度が自分の現状に合っているのか、要件に適っているのかどうか、制度が複雑で一筋縄ではいかない。市民にとっては生活と仕事の困難が重なっています。生活保障でも営業補償でもとにかく先立つものが必要だ。減免や猶予についても聞きたい。賃金や雇用、学校や保育所について等々、相談内容は複雑多岐に渡っています。市を経由しない府や国の制度も併用できるのかどうか。まず話を聞いて課題の発見と整理をする第一線の窓口を市自身が担うことを求めるものです。
(3)相談改善の三つ目として、金融機関や商工会議所、社会福祉協議会、嘱託職員等任せにせず市自身のもっと積極的な対応を求めます。直接市民の声を聞き暮らしの実態を把握する機会の拡大は今以上に職員の技量の向上という立場からもそう思います。PFIや指定管理者制度、建築確認、福祉分野での直接介護等々、みんな民間任せで市民の暮らしの現場と現状、現実から市がどんどん遠ざかっています。今回の様な事態にあってこそ、市が直接対応する仕組みと機能を充実されるよう求めるものです。それぞれお答え下さい。
2、大きな第二に、以上お聞きしました緊急対策の充実の為にもこの3月4月の対策と、もう少し中長期的に市政全般について振り返り、そのうち特に経済・財政の二点に絞って、その経過と教訓について、以下お聞きします。
2−1、最初の教訓は、インバウンド頼みの経済政策・観光行政への反省が迫られているのではないかという点であります。どの分野でもそうですが特に観光や交通業等では、正に激甚災害であります。私は従来から、日本各地からの観光と、市民の「住んでよし」のまちづくりと言ってきました。宿泊施設拡大誘致・上質施設誘致方針の撤回、国民による消費拡大で国民の消費生活が豊かになる方向が経済循環の基本だと求めてきました。然るにアベ内閣の元で、格差拡大、低賃金・社会保障改悪等、庶民の購買力が奪われモノが買えない、従って売れない。そこを改善しないまま外国人観光客の需要に頼ろうという政策が採用されてきた。観光といえば、外国人も含め、余暇の人間的な活用、暮らしを豊かにする、京都もその場と機会を提供し喜んで頂く、ところがそういう位置付けではなく、政府も京都市も、結局は儲ける稼ぐ成長戦略等々、経済的な動機から観光立国を打ち出した。経済は結果なのに目的にしてしまった。その政策のツケが今回如実に顕在化してしまった。市民の消費購買力を高め需要と消費を喚起する基本的方向へ立ち帰ることが必要ではないか。賃上げや社会保障の拡充、消費税減税等々、国民の消費に依拠して市内製造業商業の売上げアップをはかる、そういう方向こそが、今回の事態からの教訓ではないか。
更に視野を広げれば、消費拡大に向け、中小零細事業者の懐も温かくしなければならない。もっと言えば消費拡大の為というより暮らしと営業を守り豊かにしていくこと自体が目標とされなければならない。アベ内閣の元で、経済のグローバル化、大企業の海外進出促進、国内産業空洞化、競争、規制緩和、市場化、成長戦略、弱肉強食、自己責任、官から民へ、公的役割の後退等々が特徴です。ベッドが減らされ病院の統廃合が進められ、ヘルス産業シルバーサービス産業が育成され、本市でも保健所の統合や市立病院の独立行政法人化が進められてきました。市長も民間活力活用が不可欠などと言われています。市の財政が市外大手企業へ流出しています。コンピューター管理、水道局のPFIでは設計も管理も外部へ、委託は海外の事業者にも及んでいます。市立病院の特定目的会社、市営住宅の建替と住民への対応、そして介護保険認定給付業務。市民の財産である学校跡地も市外や海外の資本に流れています。ギガスクール構想は慎重な検討が必要だと思いますが、27億円もの発注で、WTOにより大手も地元零細も同列の入札条件です。市場化民間化は市民の暮らしの基盤の後退と裏腹です。市役所から出るお金はできるだけ市内で回し、市民生活向上に充てるべきです。公共事業や物品調達における市内業者優先とともに、住宅改修助成制度の創設など、市内中小零細への仕事興しが必要です。中国からは、機械製品の部品だけでなくマスクも届きません。普段から、市内中小零細事業者の底上げ策と仕事の提供、国内でのモノ造りと地域経済ローカル循環ナショナル循環が教訓ではありませんか。市長は「伝統産業を守る」とともに「世界に繋がる企業に元気を」との新聞インタビューでしたが、町場の零細企業自営業者は如何でしょうか。市の統計では大手と中小零細を区別した資料がほとんどありませんが、全国統計で倒産廃業の多くは中小です。総務省資料では宿泊・飲食業では非正規7割、賃金は全産業平均の4割、財務省資料では、中小業者が手元資金でやりくりできる期間は宿泊業で2.2ヶ月、小売業では1.5ヶ月とのことですが、本市では如何でしょう。中小零細企業自営業者の存続は日本と京都の経済にとって不可欠最優先の課題であります。その灯を消してはならない。今後、インバウンドの動向についてどう見通しておられるか、インバウンド頼みの観光政策の見直しと市民の購買力向上、中小零細企業地場産業底上げ、倒産廃業を出さない決意とローカル循環についての認識をお聞かせ下さい。
2−2、二番目の教訓は財政についてであります。本市にとっても今後大幅な減収が危惧されますし、また今回の対策の為にも、改めて財政問題についてお聞きしたい。特に国への財源要求が必要だと考えます。ここでは、国との関係を中心に、絞って質問します。政府の中央集権的財政政策が自治体財政危機の決定的な要因となっているにも拘わらず、そのことへの分析が本市においてほとんど無いに等しいむしろ追随している、批判的視点が必要ではないか、というのが質問の趣旨であります。
(1)そこで、政府の財政政策が如何に自治体財政にとってマイナスになっているか。例えば地方交付税について言えば、今日、有力な交付税財源である所得税・法人税両税は、最高税率引き下げや大企業減税等によって、長期的には大きく減っています。交付税の財源は、両税が減れば減りますし、逆に行き過ぎた減税を止めて増えれば増えることになります。ここへの分析と言及が必要ではありませんか。
より直接的な問題として、国の大企業減税政策が自治体の法人市民税法人税割の減収に直結しています。法人税率引下げと、租税特別措置についての分析が必要です。諸々の優遇税制によって、実質的な負担率は、この間引き下げられてきた名目税率よりも更に少なくなっています。私の概算ですが、京都の大企業9社は、この5年間、法人三税の税率約29%に対し、実際には21〜22%しか払っていません。不当な減税を止めれば市民税法人税割が大きく増収になることは明らかであります。消費税導入前後、本市の法人税割収入は400億円超、今や半減です。
個人市民税の所得割税率も以前の様に所得に応じた税率とすべきです。せめて三位一体改革前の三段階で計算し直すと、4年前の数字でこれも私の概算ですが、課税所得700万円超を10%にすると、200万以下を3%にしても差し引き相当の増収が可能です。この改善は、累進制復活という実質公平性の意義もあると考えます。住民税は応益負担との考えは、現に均等割がありますから所得割の累進税率を排除するものではありません。
国の法人税減税是正と個人市民税累進化は本市の税収増にも繋がると思いますが、この点についての市長の認識をお聞かせ下さい。
(2)そこで、国への財政要求に際し、いつも出てくるのが「国の財政も大変だ」との答弁であります。この認識が要求実現の妨げになっています。軍備拡大や大企業・富裕層減税を止め、削るべきを削り集めるべきを集めれば財源はあります。税収構造の歪みも深刻です。政府予算では消費税が税収額トップとなり、本市も地方消費税頼みが進んでいます。所得が低い程負担割合が高い最悪の不公平税制で逆進性が拡大、増々イビツな歳入構造になっていくばかりです。所得税最高税率や法人税が引き下げられ、税収の空洞化が進んでいます。税金の所得再配分機能の喪失、逆に税金が格差拡大推進という異常な現象が今日の税財政の特徴です。国が大変なのは、お金が無いことよりもむしろこれらの歪んだ財政構造こそだと私は思います。この点への批判と改革への問題提起抜きに、国も大変ですね等と言いながら交付税増額だけを要求してもうまくいかないのは明らかであります。
(3)市独自の問題ですが、福祉や教育の分野では財政危機だと言いながら北陸新幹線や堀川通り地下バイパス等見積り抜きでも突っ込むのは、要はお金の問題ではなく気持ちの問題だとの証明であります。鴨東線第三工区等、市の大型事業の凍結、減額補正で当面の対策費用に充てるべきことも併せて要求します。
(4)全体として国の財政への批判的視点の欠如、市においても大型事業の推進、民間化や職員削減、地方自治の魂を忘れた市政のこういう現状こそが、ある意味、財政危機ならぬ京都市政の本当の危機ではないか。政府の地方財政政策の問題点への言及抜きに財政危機だけを市民に強調するのは如何でしょうか。私の提案は特効薬ではありませんが、まず危機克服の前提であり第一歩だと確信します。大企業優遇税制や地方税法の制約など国の財政政策が自治体財政の危機の根源だとの認識はどうか、及び国の財政についての現状認識、国へ要求していくべき課題や方向についてもお答え下さい。
今後の地方財政危機打開の為ばかりでなく当面のコロナ対策の為にも、国に、必要な財源と財政政策の転換を求めていくことが必要です。本市においても、今は緊急事態ですから、現状と実態と必要に応じて追加出動する、臨機応変の対応が求められると思います。必要な財源の確保とその為に国にも強力に要求する、これらの決意を求めて質問を終わります。」
トメ