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活動日誌

北陸新幹線京都延伸計画に関する請願書を提出

No.692

 北陸新幹線敦賀大阪延伸計画について、国交省や与党が「小浜・京都・京田辺」ルートと言っており、また国の「鉄道建設機構」も、「京都駅は今の京都駅に」と言っています。ならば、南区内通過は必至であり、深さにもよりますが、区民の生活環境への影響も不可避です。浅ければ立ち退きや補償の問題が出てきますし、40m以深の「大深度地下」なら、地上に遠慮なく掘り進めることが可能とされています。勿論、所有権は地下深くにも及びますから、この大深度法自体が憲法違反の代物だと思いますが、いずれにせよ、深いから影響は少ないとは全く言えず、東京の外環状道路工事では、地上の家が傾いたり道が陥没したり、また低濃度酸素のアワが浮き上がってきたり、等々、甚大な影響が、地上の住民生活にも及んでいます。まして、乗客にすれば、何かあった時には、深いほど危険な訳ですから、「大深度なら補償も土地収用も要らない」などとの考えは、とにかく工事したがるゼネコンの理屈に過ぎません。河を見たらダムを造りたい、橋を架けたい、山を見たらトンネルを掘りたい、空き地を見たらビルを建てたい、空を見たら高いビルで空間を占領したい、そして今度は地面を見たら地下深く掘り進めたいと、これはもう一種の病気とも言うべきです。
 それはともかく、それで「機構」が市内のあちらこちらに穴を掘ってボーリング調査をしているのに、その狙いや目的、結果データの使途など全く秘密のままであることや、京都駅の概略設計などに取りかかっているとの意味のことを言ったりしていますので、これらについて、去る5月28日、京都駅のすぐご近所にお住まいの男性が、京都市議会宛てに請願書を出され、実は私も、その応援に、一緒に議会へ行ってきた、というニュースです。結論がすっかり最後になってしまいましたが。
 「機構」が今やっていることや今後の計画など、市民に重大な影響を及ぼすことから、市としても、機構に照会し、市民への影響を避ける立場からもの申すべきだ、少なくとも照会して得た情報を市民に明らかにすべきだ、等との内容です。議会としても、何ら消極的になる要素はないはずの請願ですから、その後の市長の姿勢が弱いままとしても、議会としては、是非、「採択」願いたいと思っています。基本は「情報公開」を求めているだけのものですから。

 以下、請願書の写しです。

<請願の趣旨>

 北陸新幹線京都延伸計画について、国土交通省及び独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(以下「機構」と略)に対し、市長として、^焚爾遼楡全螻胴猝椶砲弔い鴇伐颪掘↓△修侶覯未鮖毀韻望匆陲垢襪海函△魑瓩瓩泙后
1、「機構」の、昨年12月21日付けの「事業推進調査の進捗状況」(以下「進捗状況」)によると、その2「地質関係調査」として「25本のボーリングのうち実施中18本、うち12本完了、調整中7本」等と書かれています。昨夏のボーリング調査開始時点では、「年度内完了予定」(昨7/19付「…調査・探査の実施について」(府建設交通部)とされていましたから、現時点ではもっと進捗しているハズです。特に、府の文書で示された7カ所について、その個所選定の理由、進捗、結果の分析や評価・今後の活用方向、について明らかにして下さい。更に今春、南区の村山公園など11カ所で、また新たにボーリング調査が実施されつつあります。同公園選定の根拠と調査の狙い等について明らかにして下さい。市有地掘削の許可にあたり、市としても、当然質すべき内容のハズです。
2、同じく、「進捗状況」によると、その3「受入地事前協議」として、「発生土…につ いて自治体と事前協議実施中」とのことですが、「土の受入候補地」とはどこのことで、 「土量」とはどれくらいの量のことですか。京都市域からの発生土を「受入候補地の自 治体」へ運搬するルートは如何ですか。それぞれ明らかにして下さい。
3、同「進捗状況」では、4「地下水関係調査」として「京都市内…地下水・河川水17箇所を採取済み、成分分析実施中」とのことですが、これらの採取箇所と各分析結果について、明らかにして下さい。更に、採取箇所選定の根拠はどうか。これらの水を生業の糧とされておられる業種や地域を想定しての選定であったのか、また分析の結果、工事後の、水の流れや量の変化等、その影響の有無や程度について、どのように予測されておられるのか、それぞれ明らかにして下さい。
4.同じく、5「鉄道施設概略設計」として、「京都駅…については、既往の調査結果等を活用し概略設計のための諸条件を整理済、本体構造物及び土留の設計計算実施中、近接構造物への影響解析中、主要構造物の断面図等を作成」等とのことですが、では、京都駅の「概略設計」は、どこででも応用可能な、抽象的な空間または地上若しくは地下での設計なのですか、それとも、具体的な場所を想定したうえでの設計なのですか。前後左右上下の具体的な隣接環境を度外視して駅構造だけを独自に設計しうるとは思えません。まして「近接構造物への影響」というなら、具体的な個所の想定が前提になっていると推測されます。「駅の概略設計」の内容と進捗について明らかにして下さい。
5、同じく6「道路・河川等管理者との事前協議」として「想定する交差物件161件の協議実施中、うち105件で設計条件等確認済」とのことですが、これらのうち、京都市域部は含まれていますか。具体的な各箇所について明らかにして下さい。

<請願の理由>

 以上の請願項目で引用している通り、「機構」の「事業推進調査の進捗状況」によると、北陸新幹線京都延伸計画が、かなり具体的に検討されていると思われます。市民生活への影響は極めて甚大であると想定されるのに、それに見合う情報公開がなく、全くの秘密裡のうちに準備だけが一方的に進められています。地下水への影響や掘削残土の処理、立坑の位置、断層横断の長大トンネルの危険性、財政上の懸念、在来線の存続等々の諸問題山積が指摘されていますが、何一つ明らかにされないまま今日に至っています。幅広い角度からの議論が必要ですし、そのためにはまず情報の公開が必須です。市民生活への影響が大きいと想定される場合、市長としては「聞いていない」で済まされる話ではありません。少なくとも、市長として聞いてはいるが市民に公表できないのか、それとも、そもそも聞いてすらおられないのか、現時点ではどちらですか。まず第一段階として照会をかけて頂くよう求める請願とさせて頂いています。
 その上で、その内容を市民にも明らかにするのは、市長として、市民に対する最低限の責任です。市民の暮らしや営業に重大な影響が及ぶと予測される大きな事業に対し、その影響の軽減、最小化を願うお気持ちは、市長もその通りでしょう。その為にこそ市長の権限と責任と役割を果たして頂きたいと考えます。この間、直接「機構」にお聞きしても「答えられない」との回答が続いています。是非、市長から照会をかけて頂きたいと思います。
 「京都駅は京都駅に」との「機構」の方針は、事実上、路線の南区通過を意味します。区民にとっては、立ち退きを迫られるか、若しくは、「大深度地下法」の適用で、土地収用も用地買収も補償もない代わりに、自宅の地下深く、勝手に穴を掘られ、日夜、新幹線が往来することになるか、どちらかが強いられることになります。京都駅を目の前にして毎日生活している者にとっては、重大な関心を払わないわけにはいきません。東京の外環状線道路工事の現場では、大深度地下工事でも家屋の傾斜や土地の陥没等の事例が発生しており、「深ければ安全」どころか、地震や事故の場合も含め、乗客にとっても市民にとっても、「深いほど危険」と言うべきでしょう。
 公共事業と言うならば、その影響を受けると想定される市民に対し(財政で言えば全市民にあたります)、まず、その計画の内容や準備状況等について、明らかにすべきです。市長も、「環境や財源など…市民に本当に利益になるようなルートを慎重に判断するのが市長の役割と」言われています(昨12/21付「京都新聞」)。議会からも、是非、市長に求めて頂きますよう、請願に及んだ次第です。よろしくお願いします。

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大型給食センターの為の「公園廃止」決定は取消すべき

No.691

 5月28日、公園と給食センターを考える南区の会として、市の「公園廃止」決定の取消しを求める訴訟を提起、地裁に訴えました。
 折角、実現の運びとなった中学校給食について、市は、対象63校2万6千食分を一括して調理、運搬する「センター」方式を打ち出し、その建設用地に充てる為、南区の東吉祥院公園を廃止すると「決定」してしまいました。元々、この公園は、長い間、塔南高校グランドとして「目的外使用」され、今般、高校の移転に伴って、ようやく公園に戻されるハズでした。球技のできる公園として、また災害時の広域避難場所として、そして勿論、憩いの場として、本来の公園の復活が期待される矢先の事でした。しかし公園の廃止には、法上、代替え公園が必要ですが、今回の「廃止」にあたり、市は、その代替えとして伏見区の公園などを指定し、これでは遠方過ぎて代替えにはなり得ません。廃止の要件を欠いているとして、その決定の取り消しを求める裁判提起に至ったものです。公園としての本来の機能の復活は勿論、センター方式撤回も、勿論、視野に入った上での提訴です。
 この日、弁護士の先生たちと、原告31人のうちの代表とが、提訴後、記者会見もしました(写真)。不肖、私もその一員です。もう一枚の写真は、6月2日、「大型センター方式ではなく、生徒たちの身近な場所での調理を」求める市内実行委員会のパレードの様子です。三条大橋西詰めから祇園まで歩き、沿道の皆さんに訴えました。

 以下の文章は、裁判に向けて、南区の「考える会」の仲間の皆さん宛に書いた、とりあえずの、私のメモです。

裁判メモ
                             ’24/5/                       井上けんじ

はじめに

裁判では、専門家である弁護士の先生方のご指導を受けながら進めていくことになります。裁判所や裁判官とのやりとり等もやって頂きます。裁判で一番大切な、「何を訴え、それをどのように証明するか」との弁論の中心になって頂きます。そこで、素人が口を挟むことではないのですが、しかし一方では、裁判をもっと庶民の為に、庶民の身近な感覚で、という方向が求められ、その方向を追求していくことも、あっていいとも思います。勿論、こう言うからといって、弁護士が庶民的でないと言っている訳では決してありません。まして、特に今回、私たちが委任している弁護士の皆さん方は、それこそ最も庶民的な先生たちばかりです。その上で、しかし敢えて、素人の、「裁判では通用しない」ような考えや意見であっても、広く、裁判外の運動と世論の形成・拡大という役割にたとえ僅かでも貢献しうる可能性があれば、少なくとも足を引っ張りさえしなければ、みんなでもっと旺盛に議論し合ったらいいのでは、と思っています。そんなわけで、私もその一翼を担えるかどうか、これまでにも、簡単な文章や意見書なども書いてきましたが、裁判の開始にあたり、一参加者として、今思っていることを書いてみました。

市の、東吉祥院公園「廃止」決定(処分)は違法であり、取り消されるべきである

1、「違法」と「不当」

審査請求や監査請求(何かを行政に求める方法ですが、裁判よりは簡単な手続きで済むやり方のひとつ。「お上」の言いなりでは済ましたくないという住民の権利行使のひとつです)、行政の「不当または違法」な処分(これも行政用語で馴染みにくく、一般の感覚とはちょっと異なる意味合いですが、とりあえず、行政がこうと決めてその結果が住民に及ぶものといった様な意味でいいと思います)が対象ですが、裁判の場合は「違法」な処分に限られます。しかし、前述1で言ったような趣旨で、以下、私の意見には「違法」とは言えないようなことも含まれているかも知れませんが、「不当」とは思っていますので、この点もご寛容ご容赦を願いたいと思います。

2、市の廃止決定は、廃止の要件を欠いている、満たしていない

昨年11/22の市の「廃止説明会」では、都市公園法第16条が紹介され、「これに則っているから、東吉祥院公園の廃止は合法である」とのことでした。配布された資料には、要旨、次のように書かれています。「16条は『代わりの公園が設置される場合』には廃止できると書かれている。今回、4カ所の代替公園の整備を計画するから、これに適合している」。そこで4カ所の他の公園が挙げられているが、しかしここで紹介されている代替公園には、整備予定中であったり整備中であったりで、「設置される場合」には未だ至っていない。市において廃止が決定された同月/24の時点では、まず時間的に、未だこの要件は満たしていないと言うべきである。しかしもっと大きな問題は、そんな時間のことではない。実質的な公園の機能という面からはどうか。これらの代替とされている公園4カ所のうち3カ所は数km離れた遠方にあり、地域住民にとって、「身近な公園」とはとうてい言えない場所にある。2カ所は何と伏見区の公園である。しかも、憩いの場としての公園機能だけでなく、本公園は「収容人員5,000人」とされる広域避難場所として指定されている。これは災害対策基本法に基づく指定であり、今も、市の広域避難場所一覧に掲載されている。災害時、一体誰がわざわざ遠方の公園まで避難に行けるだろうか。広域避難場所としての機能など代替しようがない。「代わるべき公園が設置される場合」に適合しないことは明らかであり、16条の要件を満たしていない。要件を満たさない「廃止」は違法である。

3、都市計画審議会での「廃止」決定はどうか

しかし一方、市の廃止決定だけでなく、その後の都市計画審議会でも廃止が議決されている、との反論があるかも知れない。そこで私からも反論する。同審議会へは、市長から、「すでに廃止されているから」との立場からの提案であり、そのうえでの議決であった。そこで以上で述べてきた通り、「すでに廃止」自体が違法であることから、提案の前提が崩れており、議決の依って立つ基盤が成り立っていない。差し戻されるべきである。都市計画審議会の議決自体は手続きを踏んでいる、と言ってみたところで、前提が不成立ならば、それは成り立たない。この議決をもって、廃止決定は正当であり合法であるとも言えないのである。同審議会での議論は、本訴訟の判決確定後に、改めて議論し直されるべきである。

4、間違った文書は無効である

ちなみに、昨11/22の廃止説明会配布資料では「16条2項に適合」と書かれているが、同条には2項とやらは存在せず、適合のしようがない。そもそも16条にはひとつの項しかなく(この場合、敢えて第1項などとは言わない)、その中に、「廃止できる場合」として、「公益上特別の必要がある場合」や、前述の、今回適用された「代替公園設置」など三つの場合を「各号」として挙げているだけである。配布資料は説明になっておらず無効である。適合している・していない、要件を満たしている・いない、以前の問題であり、間違った文書により説明された説明会は、その説明会自体が無効であると言うべきである。

5、そもそも16条の趣旨は何か

以上、都市公園法16条について必要な限り、紹介してきたが、条文全体の趣旨は、「適合すれば廃止は可能」というよりもむしろ、「こういう場合にしか廃止できない」との意味だと思える。即ち、条文の見出しが「都市公園の保存」であり、条文も「次に掲げる場合のほか、みだりに…廃止してはならない」と書かれているからである。前述の三つの各号は、限定列挙であり、廃止は例外中の例外として位置付けられていると読むべきだと思う。そこが井上の素人のあさましさだ。例外であれ限定であれ、不可ではないという限り、その程度とは無関係に可能なのである、との指摘が聞こえてきそうである。全くその通りだ。だからこそ私も、文理解釈上、厳密であるべきだとの立場から前述4、の間違いを指摘してきた。しかし、その法律や条文の趣旨から言えば、やはり16条は「保存」であって、解釈上、重視され考慮されるべきだと思う。つまり、それだけ厳密性の程度を引き上げて解釈すべきと思う。具体的には、「代わるべき公園の設置」を、より厳しく条件付けなければならないということだと思う。だからこそ、設置の時期や、まして距離・機能などが「代わるべき」資格を持っているかどうか、地域住民の実生活の感覚に依拠しながらの判断が求められると思う。

6、都市公園法には、廃止の手続きに’ついての規定はない

以前から私は、「16条は要件であって、廃止の手続きを書いたものではない」と指摘してきた。同法全体に「廃止の時にはどういう方法でどうする」ということが書かれていないということ自体が、そもそもの廃止ということを想定していない、よほどの例外的なことだと位置付けられている証拠だと思う。これは上の5、の続きである。そこで市の担当者に聞くと、「同法の第2条の2、『公園の設置』の場合の「公告」との方法を準用した」とのことであった。政令では「名称、位置、共用開始期日」を、とされている。しかしこれにも疑問が残る。設置の場合と廃止の場合とでは全然違うからである。議会の関与や、地域住民を主人公としてその意見を尊重する等、まして廃止の場合に、単なる市長の一方的な公告だけで済ませていいものかどうか、上の 5,で述べた趣旨から言えば、もっと厳密な手続きが要るのではないかと思える。

7、 手続き的瑕疵は処分の取消事由になる

違法に収集された証拠は事実認定資料から排除される、つまり証拠にならないという考え
方があります。手続き的に間違いがある場合、その実質も否定されると言えると思います。公園廃止のやり方が間違っていれば、廃止そのものも無効だと言えるのではないか。 
16条の要件を満たしていない、という実質的な違法根拠とともに、廃止に至る手続きにお
いても、その瑕疵がある場合、やはり違法だと言い得ると思います。
同公園は1960年に開設されたが、その直後の ’63年以来、ごく最近まで塔南高校グラ
ンドとして使用されてきた。’77年に教育長から市長宛に占用許可申請書が提出され、市長が、5項目の条件を付して5年間の許可証を発行、その資料は残っているが、その前後の経緯については、資料としては残っていない。その後も、事実上の占用が続いてきた。この「占用許可」について、現在、市は「都市公園法第6条」に準じた占用だったと推測すると言っているが、同法6条の「占用」は「工作物」等を設けての、その工作物の部分での占用の場合としてしか読み取れない。恐らく売店等の設置を想定してのものと思われ、公園全体をそっくり、という今回のような場合は「借用」と言うべきであって、この推測よりはむしろ、地方自治法で言う「公の施設」の「目的外使用許可」の方が解釈としては素直だと私は思う。いずれにせよ百歩譲ってその後の(5年後以降の)手続きは仮に省略してきたものだとしても、5つもの条件を付けた許可証が発行されているくらいだから、最終的にその許可期限の終了時には、当然、何らかの手続きがあって然るべきである。その占有がいつ解除されたのか、私流に言えば市教委がいつ市長に返却したのか、目的外使用許可がいつ取り消されたのか、そのことが曖昧にされたまま、昨秋来「公園廃止」が独り歩きしてきた。南区の「公園と給食センターを考える会」の今年3月8日付の申入書や3月末の都市計画審議会への私の意見書などで、この経過を問い質してきたが、ようやくこの5月になって、議員からの質問に対し、初めて、「昨秋11/30に占用の終了、手続きの文書はない」との回答が得られた。このことを問題にするのは、ここに至るまでの経過があるからである。昨11/13付の「近隣住民への公園廃止説明会」のチラシも、同/22の説明会資料も、ともに教育委員会の発信となっている。「借りていた同委員会が何故廃止できるのか、市に返還し、その返還を受けた市が今後の公園のあり方を説明するのがスジではないか」との疑問が、この説明会でも出されていたのは当然である。実際、この説明会は、何と教育委員会だけの出席で進められたのである。この時は「市長部局とも打合せの上、市全体を代表しての説明である」との市教委の答弁であった。教育というまことに重要な役割を負っているとはいえ、一般行政からは独立している委員会に「市を代表する」などということが有り得るのだろうかとの疑問が残ったまま推移してきたのは当然である。
占用の終了が11/30といえば、これは公園廃止と同日である。しかし文化市民局での廃止決裁が11/24であるから、この時点では未だ市教委の「占用」状態のままであった。即ち、市長からすれば占用許可状態のまま返却もしてもらわずに廃止したことになるし、市教委からすれば占用を許されている状態のまま市長に廃止されてしまったことになるが、前述の通り、その市教委が市民に廃止の説明をしているのである。これは例えば、前者なら、店子が居るのに家を処分してしまったか、後者なら店子が借りている状態のまま処分してしまったというようなことに他ならない。こんな摩訶不思議を取り繕う為に、公園廃止告示の11/30の、その同じ日に占有も終了したと言っているのであろう。公表しなかっただけで実際そうであったのか、それとも議会からの質問に今になって答えているだけなのかの真偽は分からない。前者と解釈したとしても、実際、資料も手続きも何も残されていないし、そもそも作られてもいない。条件付きの「許可」案件でありながら、その取消や解除について何の手続きもないなどということが、「法律に基づく行政」にあって果たして許されるのであろうか。百歩譲って理解しうるとすれば、それは「11/30を期限とする」との許可証の期限が切れた時の自動的失効という場合であろうが、今回、そんな許可証が存在しないことは前述の通りである。占有とか、私の解釈による「借用」「目的外使用」の解除とか許可の取消等との状態の確認や手続きが、全く曖昧なまま推移してきたことが、これらの経過に示されている。公共用財産の管理や運用が、かくも杜撰で恣意的な扱いとなっていることは、公園廃止の手続きが、全く適正を欠いていることを示している。適正手続きの欠落という根拠をもって、今回の公園廃止は違法であると言うべきである。

 

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