公園廃止の取消を求める裁判への地元調査報告書
No.694
大型給食工場建設用地に充てる為として、京都市が南区内の東吉祥院公園を「廃止」しましたが、この決定の取消を求める裁判に取り組んでいます。「都市公園法」では、廃止の為には「代替公園が必要」とされており、そこで市では、南区内と伏見区に各2カ所計4カ所の公園を予定中としています。4カ所合計の公園面積は、確かに同じです。しかし、 一昨年11月の「廃止」から既に1年以上経っているのに、1カ所はやっと今年夏予定、以外の3カ所は開設時期も未だに未定です。加えて伏見の2カ所は1時間前後もかかる遠方で、一体誰がそんなに遠くまで散歩や休憩に行くのでしょうか。とても「代替」とは言えません。法律の要件を満たしておらず、廃止は違法ですから取り消されるべきです。
公園の地元からの調査報告を用意しています。代替とは成り得ないとの論証の為、裁判で生かして行きたいと思っています。
調 査 報 告 書
2025年1月9日 原告 井上けんじ
裁判の争点となっている公園の「代替」としての要件について、主にその距離・移動時間について調べてみました。公園を廃止しようとする場合、法律上の要件が要ります。京都市は、東吉祥院公園の廃止に際し、都市公園法第16条第2号(なお、2023/11/22の説明会資料では「2項」と書かれています)により、「代替公園の設置」をもって、この要件を満たしていると主張しています。しかしそもそも同条の見出しは「都市公園の保存」とあり、本文も「これこれの場合に廃止できる」との文脈ではなく「次に掲げる場合のほか、みだりに…廃止してはならない」との表現になっています。廃止の場合の手続き等について触れていないのは、市の言うように「廃止はどんな方法でも構わない」という趣旨ではなく、逆に、廃止をそもそも想定していないか、またはよほど例外的なことと位置付け、慎重の上に慎重を期すべきものとしているから、と読むべきではないでしょうか。
そこで、その例外であるところの「代替」たりうる為の条件はどうかを調査しましたので、報告いたします。
1、代替公園の設置時期についての要件を満たしていないこと
まずその時期について、市は「必ずしも廃止時点での設置・開設でなくても
構わない」 と言っています。仮に何歩か譲ってその主張を了解するとして
も、やはりそこには一定の期限という制約があるはずです。市の説明では、以
下の通りでした(日本共産党市会議員議団からの、市への聞き取りによる。’
25/1/8)。
● 塔南高校跡地(北側)…教育委員会が公園の設計中であり、2024年度内
に設計を完成予定。工事については、2025年度内に工事着手予定。公園開
設時期は未定。
● 南岩本公園(南区)…建設局すまいまちづくり課が実施主体となり工事
は着工している。既存の公園部分は都市計画決定が行われているが、今
回、代替公園の機能を持たせるために拡幅する部分は都市計画決定を行う
予定はない。開設は ’25年夏とのこと。
● 伏見西部第四地区8号公園・及び、●桃山東第二地区4号公園(伏見区)
…建設局で設計を終了した。工事の予算が確保できていないため、着工時
期は未定。現場は囲いを行い年に数回草刈りなどの維持管理を行ってい
る。区画整理で公園地を確保し公園整備するもの。都市計画決定の予定は
ない。いずれも開設時期は未定。
次項の「距離、移動時間」にしてもそうですが、言うまでもなく「代替」と
は、日常、公の施設を利用する市民にとっての公園の機能・役割が代わりにな
りうるという意味であって、市の公園面積全体が減るとか、変わらないまたは
増えるから要件を満たしている等との問題ではないはずだと思います。まして
市民は、日々、年をとっていく訳ですから、その年齢のその瞬間瞬間はかけが
えのないその時点でのその人の人生であり生きるための環境を享受しうる、成
長発達への一瞬一瞬であるはずです。これは児童や青年に限りません。’25/1
月の今日時点で、既に一昨年(2023年)11月の市の「廃止」から1年以
上経っている有様です。いつ開設されるかも知れない公園が、「代替」になり
うるはずがありません。
2、都市公園(本件では近隣公園)に「代わるべき都市公園」の要件を満たしてい
ないこと
「近隣公園」は、近隣住民の散策や憩いの場としての公園であり、かつ、地
震による大規模火災などの災害時には避難の場となるもので、住居の近所にあ
ることが必須の条件です。だからこそ「近隣公園」なのです。誰がわざわざ、
時間とお金をかけて、休憩ならぬ、疲れに行くのですか。また、スポーツ愛好
者にとっても、仕事や住まいの関係で身近な場所にあることが望ましいことは
当然であり、そもそも、四等分されたグラウンドの合計面積が変わらないから
と言って、細分化された公園では野球やサッカー、ラクビーなどができなくな
ってしまうのも当然です。よって、上記の1、の「廃止から代替公園開設まで
の空白期間」以上に厳しい「距離制限、公園まで行く時間の制限」が必要で
す。以下、東吉祥院公園を起点として、各公園への移動の時間と距離を確かめ
てみました。
東吉祥院公園 → 伏見西部第四地区8号公園
(1)’24/ 7/11に、自動車で、最短且つ合理的と思える経路で行ってみた結
果、以下の通りでした。距離6km、所用時間、約20分
(2)‘24/12/29に自転車で走ってみましたが、危ないので国道は避けたとはい
え、ほぼ最短距離で(旧千本通りを横大路まで南下)合理的な経路と言えま
す。日曜日の午後でしたが、約25分〜26分であった。
(3)次に、京都市の、市バスを主要な交通機関とする運行情報・乗換案内を検
索してみました。任意の出発地と目的地、及び出発日・時刻を想定して検索
すれば、到着順・所要時間順・安い順等毎に各4通りの経路を道案内してく
れます。東吉祥院公園の前の市バス「吉祥院池田町」停留所を起点にしま
す。一方、伏見西部公園に一番近いバス停は、 嵒榮参B舅」と、◆峅
大路車庫前」で、ほぼ同じ、各徒歩約4分の距離でした。想定の日について
は、平日と土曜・日曜との区別ができますが、時間となると、何時何分と、
60分×十数時間(始発から終発迄)もの選択幅がありうることになります。
しかも、まず最初に乗る「池田町」発のバスが4路線あるとはいえ、いずれ
も朝夕の通勤通学時間帯以外は一時間に1本のバスしかない(一日中1本し
かない路線もあり)ことと、それによる乗換えの組み合わせの多様性が主な
理由だと思われますが、各選択時間の設定によって到着順や所要時間、運
賃、移動距離等に相当大きな開きがでます。池田町バス停からは、東西に走
る久世橋通りの東西どちら行きからでも伏見へ行けますので、早く来た方に
乗ると、それだけで条件が変わってきます。乗り始めのバスを一つの路線
(号)にこだわると、一時間に1本ですから、場合によっては、池田町で待
つだけで59分かかってしまう理屈にもなります。勿論、上の検索において
は、何分発のバスに乗れるかは想定時間を起点とはするものの、所要時間に
ついては、出発地の池田町バス停での待ち時間は含めてはおらず、乗れた時
間から以後は、各乗換え時での待ち時間は加味した上で、計っていることに
なります(細かくなりますが、一定の時刻を起点とすると待ち時間の長短と
乗れる時間の前後は目的地への到着時間や所要時間とは連動しない。時刻表
を知らずにバス停へ行くと設定時間からの到着順になるが、予め検索して所
要時間最短の時刻表が分かり、それに合わせてバス停へ行くと短時間で行け
ることにはなる)。
込み入るので、以下では、平日の朝9時〜夕方4時までの、各00分との想
定で、それぞれの、乗ってからの所要時間の一番短い経路を紹介するに止め
ます。市バス「吉祥院池田町」バス停から、,鉢△里修譴召譴砲弔い謄轡
ュレーションしてみました。所要時間最短の時刻表が分からないままに乗ろ
うとすると、池田町での待ち時間(路線にもよるが=早く来たバスにのると
それ以後の乗換え経路が制約されてしまうし、一定の経路想定の場合はその
バスが来るまで待つことになる=、一時間1本だから最悪59分)と、降車
後、上述の4分とを加えた時間がかかることになります。予めの検索が可能
なら、待ち時間最短及び所要時間も最短で行けることになります。
(3)− 嵒榮参B舅」と、−◆峅B舅車庫前」までの、
最短所要時間と各時間00分からの最も早い到着時間、及び運賃の比較(この
三項目は、それぞれその項目での最小を採ったので、同一の経路ではありま
せん。バス何号に乗りどこで何々電車に乗り、等々との各経路の詳細は省略
しました)
(4)ちなみに、これらの想定では紹介されていませんが、地図と路線図だけを
見て、できる
起点
00分 「府道横大路」へ 「横大路車庫前」へ
最短所要時間 最早到着時刻 最短所要時間 最早到着時刻
9時 41分 10時02分 50分 9時57分
10 53分 11時33分 55分 11時18分
11 53分 12時33分 63分 12時18分
12 53分 13時33分 63分 13時18分
13 53分 14時33分 55分 14時18分
14 46分 15時33分 40分 15時18分
15 53分 16時33分 55分 16時42分
16 46分 17時33分 63分 17時18分
だけ単純なコースを考えてみて、例えば池田町から特18号で上ノ町へ、新千
本通りから旧千本通りへ3分程歩くが、19号に乗換えて南下、更に国道大手
筋で南8号に乗り換えて横大路車庫前へといったような経路を目指すとする
と、三つのバスの乗車時間だけの合計は、時刻表から、3+17+10=30分と
なります。しかしこの三つの系統は、いずれも一時間にほとんど1本、朝夕
のみ2本程度で、1時間に一本すらない空白の時間帯もあるような有様で
す。仮に昼の12時代で確かめてみると、どういう偶然か、乗換え待ち時間
は、上ノ町・大手筋のいずれもが各33分待ちでした。従って、合計所要時間
は30+33+33=96分ということになります。ほぼ直線に近い単純な経路であ
りながら、市交通局の想定では紹介されていない理由の正体みたり、と合点
がいったようなことでした。時間帯による相違はあるでしょうが、上の表か
ら、最短で、ほぼ1時間弱と言えるかと思います。
いずれにせよ、往復2時間もかけて、一体誰が「憩い」に出かけるという
のか。しかもこの伏見西部公園予定地は、回りは工場や倉庫ばかりで、公園
自体は今後整備されるであろうとはいえ、周辺環境としては、時間や運賃を
かけてまで出かけたくなる場所だとは思えない、との印象を受けます。桃山
公園も含め、裁判長にも、是非、現地へ行ってみて頂きたいとも思います。
東吉祥院公園 → 桃山東第二地区4号公園
(1)’24/ 7 /11に、自動車で、最短且つ合理的と思える経路で行ってみた結
果、以下の通りでした。距離11km、時間は約31分
(2)‘24/12/29に自転車で行ったところ、約48分でした。東吉祥院公園から
伏見西部公園迄は、ほぼ真南の方角であり、また同公園から桃山公園まで
は、ほぼ真東の方角にあたる。直線で行く道はないので、伏見西部公園に立
ち寄ったとしても、時間的に、滞在時間を差し引いたのは勿論だが、距離と
しては不当に遠回りとは言えず、結局、京都の道は北西から南東へ行く場
合、南へ行くか東へ行くかの組み合わせが最短と言える。要するに西部公園
を経由して行ってみた、ということです。なお、自動車一方通行の逆走や川
の堤防等、自転車ならではの経路も、一部、利用し、時間短縮に寄与貢献し
ました。
(3)やはり一番遠い公園ですから、全く任意に(正月でもあったし、勤労者の
移動を想定して日曜ダイヤの午後でしたが)、最も早くて距離も短いと思え
る経路で行ってみました。バスで近鉄上鳥羽口駅前へ、近鉄で丹波橋へ、京
阪電車に乗り換えて六地蔵駅へ、後は徒歩とのコースでした。東吉祥院公園
前の市バス「吉祥院池田町」から上鳥羽口駅まで10分、降車後、近鉄電車に
乗るまで20分待ち、丹波橋まで6分、同駅で京阪への乗換えに11分、中書島ま
で2分、同駅で宇治行き発まで5分待った後、動いてから六地蔵駅まで6分、下
車後公園まで徒歩6分、計66分でありました。なお、事前に調べ、合わせて行
ったので、池田町では最悪最大の “ 59分間 ” の可能性(恐れ)は待たず
に、待ち時間0分として、所要時間には加えていません。やはり「乗り換え・
待ち時間」は「偶然性」に左右されます。
(4)次に、前述の、市交通局の運行情報を検索してみました。桃山公園最寄り
のバス停・駅としては、京阪電車「六地蔵駅」が最も近く、またスピードや
便数等、バスよりも早いので、専らこの駅に絞って目的地としました。西部
公園と同様の表を以下に掲げます。
例によって、始発の池田町バス停での待ち時間は、交通局の案内ではカウ
ントされておらず、乗った時間から計算されています。なお、六地蔵駅から
同公園までは、徒歩約5〜6分でした。丹波橋以降は京阪電車がやはり早
い。そうする為には竹田駅以南は近鉄乗車が必要で、その為には竹田以北か
ら近鉄かまたは地下鉄で竹田まで行くか、といったような経路が早いこと
が、下表から読み取れます。伏見西部公園と比べ、距離の割に時間が早いの
は、やはり鉄道だからでしょう。しかしこの表は最短最早の想定ですから、
普通一般、そこまで調べたりせず、また最短時間も選ばずに出かければ、待
ち時間の長短の「偶然性」は避けられません。上の(3)が、やはり下表より少
し時間を要したのはそういう要素を含んでいるからで、(3)の方がこの表より
も一般性があると言えると思います。
(5)なお、(3)のバスで京都駅八条口まで行き、JR奈良線での六地蔵駅へのコ
ースも試してみました。鉄道はさすがに早いとはいえ(京都→六地蔵10〜14
分)、京都駅での乗り換えと、JR六地蔵駅下車後に徒歩10分余りかかり、
結局、約一時間弱で、下表の京阪電車経由とほとんど変わらない所要時間で
した。
(6)またスポーツ愛好者にとっては、この桃山は狭すぎて、509屬世ら、野球
のダイヤモ
起点
各00分 バス停「吉祥院池田町」 → 京阪電車「六地蔵」駅
最短所要時間 最早到着時刻 バスで出発、経由地等
9時 52分 10時04分 九条大宮→近鉄東寺→丹波橋で京阪
10時 42分 11時29分 地下鉄十条→竹田→近鉄→ 〃
11時 58分 12時39分 近鉄東寺→竹田→バス
12時 58分 13時29分 9時と同じ
13時 58分 14時39分 11時と同じ
14時 42分 15時29分 近鉄上鳥羽口→丹波橋で京阪へ
15時 49分 16時36分 〃
16時 37分 17時24分 〃
ンドにも満たない。せいぜいバドミントンかドッジボールをするぐらいの広
さしかなく、しかもフェンスの外側二方向は崖で、その下は湿地といったよ
うな立地になっています。
東吉祥院公園 → 南岩本公園
(1)’24/ 7 /11に、自動車で、最短且つ合理的と思える経路で行ってみた結
果、以下の通りでした。距離約4.2km、時間は約20分
(2)自転車でも走ってみましたが( ’ 25/1/1)、約20分であった。
(3)市バス84号にて「九条河原町」または「河原町東寺道」下車、いずれか
らも、徒歩約5分。九条降車の方が少々歩く距離が長くなりますが、東寺道
までバスで、あと1分かかるから結局ほぼ変わらない。池田町からは、九条
迄で18分、東寺道迄で19分の乗車時間。乗ってさえしまえばそんなに時間は
かかりません。距離的・路線的に、このバス1本のコースが最も近くて早
く、他の経路検討の余地はありません。但し、この84号は、平日の7時・
9時・19時代と土曜日の7時・9時代の各2本以外は、始発から最終までず
っと一時間に1本しか走っていません。上の(2)の自転車もこのバスと全く同
じコースを走りました。
塔南高校跡地
(1)東吉祥院公園の、道路を挟んだすぐ北側なので、距離や移動時間は問題に
なりませんが、現時点( ‘ 25/1/1)では校舎等が建っており、外見上は高
校借用時代と変わりません。他の三公園予定地が曲がりなりにも整備が進め
られているのに比べ、全く手が着けられていません。
(2)高校の校舎等の敷地面積のうち、2,159岼幣紊箸靴燭里蓮∋佑長腓錣擦禿
吉祥院公園と同じ面積(またはそれ以上)にしようとしたもので、よく言え
ば代替として同面積を確保しようとしたものでしょうが、悪く言えば、全く
とってつけた辻褄合わせでしかありません。全体として高校敷地校舎部分跡
地の今後の活用計画の全体像は何も発表されておらず、公園廃止の要件を満
たしていないとの批判をかわすために応急的に、とりあえずの対応とした、
との印象を免れません。校舎敷地全体のうちの公園予定部分以外の計画が立
たないうちは、単にアドバルーンを揚げただけと言うべきでしょう。仮に整
備時期を打ち出したとしても、希望的な目標にすぎず、財政的裏付けをもっ
た具体的な時期設定としては受け止め難い。2月中旬の発表になりますが、
どういう予算がつけられるかにもよるでしょう。いずれにせよ、この校舎部
分も含め、跡地活用については、地元住民のご意見を聞き、できるだけ取り
入れる為のプロセスが不可欠だと考えます。市の ’ 24/11/22説明会資料で
は「工業地域」だとか「民間活用」等が強調されていますが、公有地の切り
売りは、自治体として、百年の計を誤るものです。
(3)ちなみに、同説明会資料は、見出しが「グランドの廃止について」、項目
1が「跡地の有効活用を検討しているところです」、2が「給食センターを
塔南高校跡地に整備する計画」、3に「公園廃止」との内容になっており、
最初に「検討中」と現在進行形で言いながら、同じ文書で結論を押しつける
内容になっています。「グランド」と「公園」の区別も曖昧で、また給食に
ついても、自校方式ではなく「センター方式」とする理由について、「持続
可能で最適」と言うだけで(では自校方式なら持続不可能とでも言うのでし
ょうか。ちなみに文科省では、学習指導要領で「持続可能」を、環境や平和
ではなく「我が国の社会を…活力あるものとして持続的に発展させる」=高
齢化社会でも破綻しないように財政抑制していく=との意味で使ったりもし
ています。市はそこまでの分析はしていないでしょうが、いずれにせよ何故
持続可能なのか、何が、如何に、何故、最適なのかとの根拠は示されておら
ず、議会でも、「(美味しさが)損なわれないようにする、さめないように
する、アレルギー対策もする」等々、様々な指摘に「それは大丈夫」と受け
身の答弁に終始しています)、積極的な理由はほとんど示されていないと思
われます。この時点で、長年借りていた立場の市教委が、市に返還したのか
どうかも明らかにされず(実は市と市教委自身も曖昧なままだったのかも知
れません。問い質した結果、返還の時期が明らかにされたのはずっと後にな
ってからで、しかも後になってから遡及して “ 廃止 ” 日に合わせたかの
ように「返還日」が明らかになりました。なぜこの「返還」を問題にするか
と言えば、市の答弁書に「廃止時点において使用許可を受けていた者はいな
かった」(P7)とか、「大阪地裁判決は…公園の利用状況等を踏まえて…」
(P13)等々、市民は未だ高校が借り続けていると思っているから使用も利用
もありえなかった、できなかったという経過と実情を全く踏まえない言い方
になっているからです。その後は高い使用料で貸し出してはいるようです
が)、元々、(市教委ではなく)市の所有であった同地の廃止を(市の関係
者の出席皆無状態で)、借りている(または借りていた)ハズの市教委だけ
で説明会を開くという異常な開催形式自体に、市と市教委の慌てぶりが伺え
るような経過だったと思っています。更にちなみに、市の「答弁書」では
「開建高校は塔南高校とは別に新たに設置された」とありますが(P18)、同
説明会資料では「塔南高校は…開建高校の地に移転しました」と書かれてい
ます。「地に移転した」とは意味不明ですが、いずれにせよ「塔南高校が移
転した」ことには違いがないと思います。
(4)周辺には、図書館や保育園、小学校、市のいきいきセンター等々の公的施
設が多くあり、従って特に子どもたちの通園通学路にもなっています。校舎
地跡地の「代替」公園の設計にあたっては、くれぐれも、これらの周辺環境
との調和を図るべきです。繰り返しますが、「代替」とは、単に「面積」だ
けをクリアすればいいというものではなく、その開設時期や距離等は勿論、
市民参加の開設プロセスや周辺への配慮等々も考慮されてこそ代わりになる
ものかどうかの判断材料とされるべきでしょう。
3.考察
市の答弁書の「乙第10号証」は、「公園の保存」の必要性を示す為に提出さ
れている資料ですが、ここにも、「『代わるべき』というのは…効用等におい
てほぼ対等のもの」と書かれています。ではその「効用」とは、同「第9号証」
引用資料で言う「散策、休養等の日常的な利用」と読むとすると、今回の市の
提示公園は、とうていその効用を果たしうるものではなく、従って「代わるべ
き」公園にはあたらないと思います。これらの書証は「語るに落ちる」ものと
言うべきです。遠足やピクニックにでも出かけるならまだしも、下駄で散歩、
ベンチで思索というには、あまりにも遠すぎて代わりにはなりません。ざっ
と、往復2時間、運賃千円も使って、一体誰が「日常的に、散策」に行くでし
ょうか。自動車で散策に出かける人などいないし、また現地に駐車場があるわ
けでもありません。ドライブやサイクリングというなら、それ自体に意味はあ
るかも知れませんが、自転車は「憩い」ならぬ疲れに行くようなものだし、何
よりも今回の争点は、あくまでも目的地である公園自体の「効用」であり「そ
こが代わりになるかどうか」だと思います。
市答弁書では「計画法が…都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため…都
市計画制 度を合理的に運用することを尊重」、「『代わるべき』というの
は…近接する地域のみで …はなく…都市の実情に応じて様々な代替の手法が
ある…」等々と書かれていますが(P25)、では今回の廃止と四公園の提示とは
「都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため」のものなのでしょうか。今の
京都市に一体どんな「実情」があり今回の四公園提示はその実情にどのように
応じているというのですか。「いかなる情勢の変化があろうとも…」とのこと
ですが、一体どんな情勢の変化があるのでしょうか。一般的な制度をどう読み
取るかというあれこれの解釈論と、身近な公園が奪われ「代わりの」公園に行
こうと思ったらそれなりの時間もお金もかかるという個別具体的な問題とは全
く別物です。市民の生活は抽象的なものではありません。疲れを癒し、休憩を
とり、散策し思索する、具体的な生活そのものです。まして広域避難場所とし
ての位置付けの場合は、もっと差し迫った切実な問題になります。スポーツ公
園としてみた場合も、遠く離れ細分化された四つの公園でサッカーや野球など
ができるわけがないことも言うまでもありません。
以上、「代替」にはならない、なりえないとの結論をもって報告とさせて頂
きます。
写真は、伏見区内の2カ所の公園「予定地」です。横大路と桃山(塀の向こう側は宇治市です)です。