No.702
南区内のある町内の皆さんが、地域での「民泊」対策について、市長と市会議長宛に要望書と陳情書を提出され、私も応援の為、同行させて頂きました。二つの文書は同じ内容のものです。なお、市長宛の要望書は、産業観光局・都市計画局・保健福祉局に、同じものを提出、また市政記者室にも届けました。以下に紹介します。
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陳 情 書 ( 要 望 書 )
2025 年 10 月 10 日
京都市議会 議長 下村あきら 殿
京都市長 松井 孝治 殿
京都市南区東九条○○町内会
私たちの町内では、現在、「簡易宿所」が急増中で、既存住民が住む住宅67軒に対し、予定も含めると20軒以上にも及びます(現状を、別添の地図にて示しておりますのでご参照願います)。大きなホテルもありますが、ここは以前、「中型」商業施設があったところで、今は身近な商店が無くなっている地域でもあります。最近は宿泊業者も、法令や条例には精通し、「違法な」振る舞いは少なくなってきてはいますが、それでもその法令や条例の水準自体が、私たち住民の立場から言えば甘い為に、合法建築・合法運営であっても、住環境への影響は少なくありません。その甘い基準さえ都合よく解釈して “義務ではないから” とルールを守らない施主会社や施工会社がいる為に、大変苦労しています。「努力義務」とされている既存ルールについても「義務化」へと推し進めて欲しいです。特に海外出身の方が責任者である場合、「法律」を基準にされる為、義務化することにより、制度の分かり易さにつながると考えます。その都度、事業者との折衝や交渉に追われている毎日で、ゴミやたばこの吸い殻の散乱、騒音、路地奥への見知らぬ人たちの往来が増え、さらに、今後の開業に向けた住宅改修工事が、細い路地に車を止めたりしながら、入れ替わり立ち替わり、路地のあちらこちらで継続されています。工事中も完成後も、住環境を脅かされている現状です。町内の定住人口が減り、地域のコミュニケーションも薄れるばかりです。
宿泊事業に対する行政の対応や建築行政においては、いわば「単体規制」になっていますが、「合成の誤謬」の言葉の通り、私たちの町内では「多数による」弊害にさらされ、町内会の運営や近所づきあいも困難になってくる、落ち着いた路地裏の風情が失われる、観光客ばかりが闊歩する等々の現状が続き、今後もそういう傾向の増加が危惧されるところです。京都市では、専ら産業観光政策の一環として「宿泊施設誘致拡大」が今も続けられ、一方、宿泊施設に関わる保健衛生行政や、建築・都市計画行政との連携や調整がどのようにされているのか、市民の立場からはよく見えません。その保健や建築でさえ、個別の単体対応だけで、あくまでも宿泊客への独自の安全衛生対策でしかありません。ハウスはあるがホームや地域がなく、面的な、地域住民の住環境への影響をできるだけ少なくするという立場からは、全く不十分な現状です。
南区東部、特に京都駅周辺では、現在、地価上昇が顕著で、一部には「活性化」などとの評価もありますが、それは市外も含めた開発業者の人たちにとってのことであって、私たちの回りでは、むしろ、真逆の事態が進行しています。家賃・固定資産税の値上げ、マンション・建て売り住宅価格の値上げ、そのことで子育て世代の転出、その要因もあって保育園の定員割れ、等々、連鎖的に影響が広がっています。立ち退き事例も増えているにも拘わらず、市営住宅も不足で何回応募しても落選続き、特に高齢者にとっては借家の保証人も確保できない等々、転出先探しも大変です。
当面、地域での「簡易宿所」対策として、次のことを陳情します。よろしくお願い致します。なお、本陳情書と同様の趣旨の要望書を、保健福祉局・都市計画局・産業観光局にも提出させて頂いています。
記
○ 規模にかかわらず施設外帳場の例外をなくし、すべての宿泊施設への帳場の設置と営業時間中の従業員常駐を義務付け、許可や受理の要件とすること。当面「駆けつけ要件」の距離・時間をもっと短縮する対策も考えられるが、そうすると、施設外帳場の周辺に、ますます非常駐施設が密集することになる。思い切って例外をなくすこと。万が一の災害の場合を想定し、宿泊客の避難場所や避難施設、備蓄品の常駐等についても許可・受理の一要件とすること。
○ 簡易宿所については、その進出にあたり、町内との合意を許可要件とすること。
○ 町内や路地毎など、各地域単位で、例えば住宅との比較で一定数以下に制限する等、地域毎の「総量規制」をはかること。
〇 住居専用地域では、原則、禁止とされていますが、この禁止地域を、他の用途地域にも拡大すること
〇 規制対象を、ハード面に限らず、「事業者への遵守事項」を設けるなど運用面においても強化すること。
○ 特に南区東部、京都駅周辺地域での地価上昇が住民生活に及ぼしている、固定資産税や賃貸住宅家賃の上昇、分譲マンションや建て売り住宅の価格の変化、「投資マンション」(ベッド面積+α程度の狭い部屋の、当初から投資・賃貸目的での分譲で、従って賃借人にとっては部屋毎に家主の異なる賃貸マンションで、住民への住宅提供という理念は皆無)の実態、宿泊施設の現状やその一定の地域での住宅との比率・比較、等々について、実態調査を実施し、一定の開発規制や宿泊施設、特に簡易宿所の「総量規制」を図るなど、住民生活を守る立場から必要な対策を講じること。
○ 一定の「公共的」性格も持っていたと思われますが、八条高倉角にあった「セントノーム」もなくなってしまいました。市において、既存旅館業への支援とともに、ユースホステルや低廉な公営宿泊施設を増設するなど、「観光客誘致」を謳うのなら、それに見合う受け容れ・宿泊態勢を整備すること。
○ 細い路地の一角にこそ、ミニパーク・ポケットパークなど、地域住民、特に高齢者が休憩できる小空間が、今後の課題となる防災の観点からも必要です。土地は有限です。みんなのものです。何でもかんでも民間の営利対象に委ねるばかりでなく、空き家を市が買い取って公共的な用途に活用するような方向についても、是非ご検討願いたいと思います。
○ 宿泊施設軒数の、例えば町内会や一定の区画等一定地域での対住宅割合に一定の上限を設け、その限度以上は許可しないこと、又は届出を受理しないこと。許可の可否の判断にあたっては、個々の施設の「単体」だけでなく、地域全体を見渡し、また地元町内会の意見を聞くこと。
○ 周辺・近辺住民への「説明」は、個々の説明や配布物ではなく、「説明会開催」に限定すること。
○ 地元からの申し入れ・要望書の提出などに対し、誠実に応えるよう、事業者に行政指導すること。少なくとも話し合いには応じるよう指導すること。
○ 宿泊施設開業との目的が明らかな場合、または想定される場合、土地家屋の売買や家屋の内装・補修工事の段階で、住民への説明会開催や行政への事前審査等の手続きを踏むべきことを制度化すること。または、一般的な住宅改修の場合、その概要や目的等について、建築確認制度のような事前の届出や周辺住民への説明会開催を義務付ける等を制度化すること。
○ 同一地域・町内の範囲において、複数の宿泊施設開設が予定されている場合、又は一般的な住宅改修工事が予定されている場合、その開設準備や工事が同時期に実施されないよう、行政において、その工期等の時期の調整等につき、各業者への指導や誘導等を行うこと。
○ 工事用の車両の路上駐車について、周辺道路事情や近隣住宅への影響等々、道路占用許可の要件を厳密にするとともに、その車両に関わる工事の目的や概要も含めて記載した書評と許可証を、誰からでも見える位置に提示しておくよう、業者に義務付けることを制度化すること。道路使用許可時間を守るよう指導すること。
○ 工事中は防音・防塵シートの設置を義務づけ、点検すること。
○ 工事業者及び営業開始後の宿泊客のタバコの喫煙や吸い殻の処理などについても、防火や受動喫煙防止の観点から、指導を強めること。前項も含め、施主・事業者への指導とすること。
○ 許可や届け出受理については、地元町内会への説明会開催、同意・了解を要件とすること。少なくとも許可申請や届出にあたり、これらの書類に、地元の意見を添付すること。
○ 土地・家屋の所有者、解体業者、建設・修理業者、元請け・発注者、下請け事業者等は、各々、連絡連携を密にし、地元からの要請や質問等にも対応できるように、特に所有者・発注者が中心となり「同一事業所」とみなす法的枠組みを検討すること。
○ 市内市街地路上禁煙を徹底し、吸い殻のポイ捨て等厳禁を周知徹底し、そのことが守れない客を受け入れる宿泊施設は、指導・警告等の手続きを経たうえで営業許可を取り消す等の処置を採ること(タバコの吸い殻の現状については、別添資料を参照して下さい)。
○ 地域の住環境を守る為の地区計画や建築協定の手法を活かすことができるよう、日程調節の上、出前講座など、行政からの説明会・学習会の開催を求めます。相談に応じて頂きますように、よろしくお願いします。
○ 許可申請時だけでなく、折々、実態把握の為の現地調査を実施すること。
○ 「まちの匠」その他、住宅改修補助金制度の類を、要件に適合して適用を受けた後に、民泊への転用の事例がないかどうか、調査するとともに、そういうことの歯止めになるよう、補助金要項を改正強化すること。
以上
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No.701
9月から始まっている京都市議会に、市長から「大型給食工場の設計建設や運営につき、東京の大手企業(PFI方式による特定目的会社)に委ねようとする契約議案」が提出されています。月末の閉会本会議で採決の予定とのことですが、私は、「否決」を期待しています。一定額以上の契約ですから議会の可決が得られなければ契約はできません。中学校毎に、自校又は親子方式で厨房を造った方が、早いし、また市内事業者の皆さんへの仕事拡大にも通じると確信します。「美味しい、温かい」等は当然ですが、何よりも、調理の過程や調理する人たちの顔が見えることが、教育としての給食にとって、一番大事なことだと、私は思っています。
以下、私もその一員である「南区塔南高校跡地(東吉祥院公園)の今後と給食センター問題を考える会」の「慎重審議要請書」を紹介します。10月14日、同会として、京都市議会の各政党会派に要請に回りました。写真は要請の時のものです。
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2025年9月議会に提案されている議第104号「学校給食センター(仮称)整備運営事業実施契約締結」議案について、慎重審議の要請
2025 年 10 月 14 日
京都市会議員各議員団、各会派 各位
南区塔南高校跡地(東吉祥院公園)の今後と給食センター問題を考える会
代表:平 信行、長農 継子
南区西九条南田町60-2-3新日本婦人の会南支部気付
(電話) 672−3248
<要請の趣旨>
今般9月議会に、市長から提案されております標記議案につき、慎重審議をお願いします。大型センターで全中学校分を一括で賄う方式から、逆に各校での自校方式に至るまでの範囲で、様々な方式があり得るとすれば、今回の提案は、48校分をセンターにて、残り13校分を「民間調理場」で、とされています。私たちは、自校方式や、小学校も含めた各地域・学校の現状に合わせた親子方式など、各地元・各学校での調理方式が、教育としての給食に適っていると考えています。子どもたちに見えないところでの一括調理という今回の方式には賛成できません。配膳室を調理場にできれば発注を地元業者に分散できますし、早期実現も可能ではありませんか。一層の精査が必要だと思います。少なくとも、様々な角度からの、慎重な審議をお願いするものです。
<要請の理由>
1、給食の教育的意義から言えば、調理の過程や担い手などが、児童生徒たちに身近に実感できることが大切だと考えます。学校給食法や食育基本法も、原則としてそういう趣旨だと読み取れると思います。
2、同じく教育の一環という立場から言えば、その調理等の担い手は公務(公務員または非営利法人・団体等)として実施されるべきだと考えます。いやしくも、公教育の一環たる、というか教育そのものである給食事業が営利の対象にされることには、同意できません。
3、各校における配膳室の整備も、今回の契約内容に含まれています。規模の大小・広狭の違いはあるでしょうが、この整備を配膳室ではなく調理場と変更することは不可能でしょうか。「センターでの調理、各校への配送」という前提を抜きにして一から考え直すとれば、各校や地域において、再検討の余地はあると思いますが如何でしょうか。
4、調理の「方式」について、大型センターでの大規模調理と比べ、原則自校方式またはできるだけ分散化の方が、いろいろな点でメリットが大きいと思います。
○ 子どもたちのアレルギー対策を考える場合、各個別の対応が、小規模・地元の方が、よりキメ細かくできると思います。栄養教諭の配置も、センターよりも、できるだけ児童生徒に近い所に居て頂いた方が、先生も子どもたちも、より安心です。
○ アレルギー対策に限らず、より細かい食材の選択や調理方法等々、教育公務員としての栄養教諭の先生が現場で調理員さんたちと話し合う方が、よりおいしい給食の提供に繋がると思います。センターでも栄養教諭や委託業者の調理員との話し合いや指示が、子どもたちの為には必要なハズですが、これは偽装請負の疑いとなります。これは、今回の事例に限らず、一括委託方式の根本的な矛盾です。この辺りの問題についても議論を深めて下さい。
○ 食材の購入・仕入れについて、現在の学校給食協会との関係はどうなりますか。契約対象会社の一括よりも、分散化の上、地元の産地や中小流通業者からの仕入れの方が、地域経済発展の観点からも、効果が大きいと思われますが如何ですか。
○ 厨房の建設や今後の営繕活動についても、東京本社の大企業より、各地元の中小建設業者に発注する方が、京都の地域経済や中小企業支援の立場からも効果が大きいのではありませんか。
○ 調理後の運搬時間についても、センターと各地元とでは雲泥の違いがあることは明らかです。食感が違ってくることも当然です。渋滞など、万一、配送が遅れたりすることのリスクが皆無だと言い切れますか。またその根拠は如何ですか。今回議案の契約対象となっている事業者が請負っている木津川市では、2時間喫食が守られていない場合もあるとのことですが、京都市では守れますか。一昨年'23/11/20の「公園廃止説明会」では、「2時間が守られない場合は?」との参加者の質問に対し市教委は「給食と午後の授業の、中止の可能性も」と回答しています。参加者の多くから驚きの声が挙がったのは当然ですが、これは、配送時間が守れない可能性を前提とした答弁でした。
○ この配送・運搬については、頻繁な配送車の出庫・入庫による近隣住民の住環境への影響は如何でしょうか。時間帯にもよりますが、予定地の近くには小学校もあり、朝・午後の通学への影響は如何でしょうか。
○ 近隣対策は事業者の努力義務とされていますが、努力はしたが地域の了解が得られなかった場合はどうするのですか。本来、市の事業でありながら、市は「報告」を受け「協力する」だけでいいのですか。「本事業自体に付随して要求される」対策は市の責任とはされていますが、「本事業自体」の解釈は如何ですか。
○ 災害時、仮にセンターが被害を受けて機能停止に陥る場合と、各地域・各校での厨房でのリスク分散との場合、を比較したとき、後者の方が、全体としてはより被害が少なく、勿論、被害規模や場所によって一概には言えないとはいえ、地域によっては、より地元に密着した「炊き出し」機能等も残存・発揮できるのではないでしょうか。ちなみに、センター予定地は、ハザードマップでも、勿論そんなことのないように願っていますが、水害のリスクの大きい地域として紹介されています。
○ 市と市教委は、今になって「少子化対策」等、ありきたりの理由を挙げて事業を進めようとしています。しかしこの10年間、中学校給食の実現を願う市民の声に背を向けてきたことの総括は曖昧にしたままです。勿論、重い腰とはいえ上げてもらったことは歓迎です。問題は、「中学校給食の必要性・意義」の議論と、「その方式」の議論とを意図的に混在させていることです。「必要性」の根拠であるはずの「少子化対策」を、一足飛びに「方式」の議論に飛躍させ、しかも、「諸方式の比較検討」の議論抜きに、だから「センター」だとの根拠に直結させています。辛うじて両者を区別して「方式」独自の議論に及ぶ場合でも、センター化の根拠については、「持続可能」程度のことしか言うことができません。センター化独自の意義と根拠付けを積極的に打ち出すことができず、なぜセンターなのか、その説得力のないままの今回の提案だと、私たちは考えています。
5、一方、「方式」とは別に、「担い手」を誰にするか、との論点についても、質疑をお願いします。私たちは、民間事業者への一括運営・PFI方式よりも、公教育の一翼を担う事業ですから、できるだけ公務として、公務員の仕事として実施すべきだと考えています。
○ 一般に、PFIの場合、民間資金活用、公費負担節減と言われますが、その根拠はどこにありますか。VFMの詳細について、市民的にも明らかにして下さい。
○ 議案では総額での契約金額が示されていますが、設計や建設、運営の調理や配送等々の各段階・部門毎の予算内訳の積算と各事業年度毎の予算額はいくらですか。今後、建設費や食材購入費等々、諸物価高騰等の理由で追加予算が必要となった場合、それは誰が賄うのですか。これらについて、契約書では、どちらとも解釈できるかのような表現も散見されるように思いますが如何ですか。議会として、契約書の点検は如何でしょうか。
○ 維持管理は事業者の業務とされていますが、所有権が市に移って「行政財産」となった以後の、施設の修理代や、備え付けられる設備、什器備品等の更新費用等は市が負担することになるのですか。
○ 今回の事業では、一般の利用施設での利用料等の収入がある訳ではありません。給食の無償化が求められますが、それが実現していない場合でも、給食代収入で事業が賄えるわけでもないしそのハズもありません。そもそも教育としての給食事業は営利とは無縁です。一方、では事業者の利益はどこから生まれるのでしょうか。それを敢えて受注しようとするのは、自治体からお金を引き出そうとするしかないのではないですか。勿論、直営でやれば、建設費や運営費は市負担が当然ですが、そこを敢えて民間が「利益を確保した上で」やろうとすれば、その利益相当分がどこかにしわ寄せされ、節約されるしかないと思われます。その先が民間の労働者にも及ぶとすれば、「低賃金は労働の質を低める」の言葉通り、とどのつまり、そのしわ寄せは、子どもたちも及ぶことに通じるのではないでしょうか。これらの疑問にも応える質疑をお願いしたいと期待します。
○ 一般に、公からの施設建物の発注の場合、品質確保の為、最低制限価格が設定されますが、今回の場合、設計と建設にかかわっての、自治体としての条件設定や品質保証への裏付けはどのように担保されているのでしょうか。性能発注の場合、これらの点が危惧されますが如何でしょうか。
○ センター施設建設にあたっての、中間検査や完了検査はどのように行われるのでしょうか。
○ 最終の応募は一社だけでしたが、これで競争性は働いているのでしょうか。辞退された企業があるということは、それだけ本事業が簡単なものではないことの裏返しでしょう。再募集や再入札の必要性は如何でしょうか。また選定にあたり、検討委員会の中に、栄養の先生はおられたとしても、教育そのもの先生がおられない中での検討とは一体如何だったのでしょうか。教育としての給食という「検討」はどうだったのでしょうか。
○ 株式会社である以上、利益追求は当たり前です。既存のPFI事業では、倒産や手抜き工事による建物事故、人手不足等運営上の事故等各地の破綻事例、また当該労働者の非正規化・低賃金等々が紹介・指摘されています。公務なのに労働条件は非公開なのですか。担い手の劣悪な条件は、ひいては児童生徒たち、市民に影響します。本市の市立病院にしても、SPCは勿論利益追求法人です。そもそも公立病院ですから独立採算的な議論自体にも疑問を感じますが、そこから出発する限り、結局は病床削減等、市民の命と健康、公衆衛生等々の方向へのしわ寄せに行き着くしかありません。会計検査院でも、その報告書の中で、PFIの問題点が指摘され('21/5/14)これはNHKでも報道されています。こういう事例や課題を如何に総括されておられますか、繰り返さないと断言できますか。
○ 一般に、「民間のノウハウを活かす」等と言って、公務の様々な分野での「民間化」が進められていますが、こういう方向が進めば、増々「公務でのノウハウ」の力が後退していくのではないでしょうか。住民のくらしと営業、権利や環境等々を守る自治体としての機能や能力を涵養し高める方向こそが求められるのではありませんか。また、この「民間化」とともに、上の4の「給食のセンター化、大型化にしても、国の強い誘導策が、それらの背景にあるのではないですか。地方自治体の自主性を堅持するという立場・角度からも議論を深めて頂きたいと思います。
○ 事業全体に言えることですが、公的事業でありながら、民間大手事業者への利益応援と、一方で、市の公的責任の後退・曖昧さ、との印象を受けています。大所高所からの質疑をお願いしたいと期待します。
○ 世界的には、水道や鉄道等、民営化後に様々な問題点が明らかになり、再公営化の動きも見られます。こいう事例も参考にして議論して頂きたいと存じます。
6、契約対象の大型給食センターの建設場所として、元塔南高校グランドが予定されていることについても、独自に、以下のような疑問があります。
○ この地については、元々市の公園であった場所を、教育委員会が借りて高校用地に充てており、その借用の終了に伴い、その教育委員会が、いつ市に返却したのかしないままなのか判然としないまま、且つ教育委員会だけしか出席しない場で「センター建設の為に公園を廃止」との一方的な「説明会」が開かれ、その直後に文化市民局の名で「廃止」とされてしまったという経過があります。経過が曖昧で、且つ重大な問題として、都市公園法上の廃止の要件を満たしていないと思われ、従って「廃止」は違法であり、これは取り消されるべきだと、私たちは考えています。現在、廃止処分取り消し訴訟が進行中なのはご承知の通りです。来春頃には判決とも言われています。今しばらく継続審議という考え方は如何でしょうか。
○ 教育委員会が「説明」し、文化市民局が「廃止」し、そしてその廃止の要件とされている「代替公園」の準備は建設局等が進めているとされています。その代替公園の位置について、市は「市域全体で見渡す(から場所は問わない)」と言っていますが、その代替公園とやら4カ所のうち2カ所は伏見区の南部・南東部に予定され、到底、近隣住民にとって気軽に行ける所ではありません。東吉祥院公園は「近隣公園」との位置付けですが、「近所・隣」にあるからこそ近隣公園ではないのですか。既に「廃止」から2年近く経つのに、各公園とも未だに共用開始時期が不明なことなども含め、「代替」たり得ないことは明らかです。
○ 公園の給食センター化により、市民の憩いの場所としての本来の都市公園としての機能が失われます。居住地の近くに気軽に散策できる公園のあることは、基本的人権の一環として、市民にとっての必須の条件です。私たちは、実際、私たち自身や子や孫たちも塔南高校にお世話になってもきましたから、教育委員会への貸出しは、高校教育の為に必要であったと考えています。同時にその役割が終わったのですから、憩いの場として復活させるのが当然であると思います。
○ またこの公園は、学校への貸出し時から、グランドでしたから、広域避難場所として位置付けられてきました。災害多発と言われている時代にあって、防災機能の低下はまさに時代逆行です。近隣に桂川公園があるとも言われていますが、災害種別が雨水の類の場合、使用に耐えないことは明白で、必ずしも代替避難場所とは言えないでしょう。このことは、既に2013年の台風18号の際にも証明済みです。地震と水害が同時に来ないとの保障はどこにもありません。
○ サッカーやラグビー、野球等々、一定の広さを要するスポーツ公園の更なる拡充が求められると思います。スポーツもまた憩いや散策の権利と同様、基本的人権の一環であり、すべての住民に、もっともっとその機会と場所が提供されて然るべきだと考えます。一昨年末で塔南高校での借用が終わった時から、今日に至る間、現時点では高い使用料の為に利用が減りましたが、その料金設定前は、様々な団体が練習等に利用されておられました。要求と需要はたくさんあるのです。この立場からも、公園廃止は、了解できません。塔南高校の現校舎の解体後の地には、バスケってボールの施設が計画されているそうですが、そういうスポーツ普及の時代の流れにも、公園廃止は逆行するものだと思います。
○ そもそも、公園の廃止自体から言えば、不必要になったとの積極的な理由は何もありません。センター建設用地に充てるというのが廃止の理由です。ならば、この場所でのセンターの必要性と公園存続との、意義や効用・優先度等々の比較考量について、もっと市民的に議論されるべきではないでしょうか。「それぞれに対案はないか」と考えた場合(センターに替わる私たちの対案は前述の通りです)、専ら「センターありき」だけが既決事項とされ、他方、公園は一方的に廃止が押しつけられるのは、政策の選択・決定上の手続きにも問題があるのではないですか。
7、実施時期について、早期実現はみんなの願いです。各校や各地域での自校・親子、サテライト等の方が、大型センター建設より早くなると思われます。この検証は如何でしょうか。
○ 設計や建設など、より小規模の方が早いのは当然です。その分、カ所数が増えますが、同時併行でできますから、これは遅延要素にはなりません。
○ 実際、各校での配膳室の現況調査や建設はこれからの仕事ですから、規模や面積、機能面等での違いがあるとはいえ、これを調理室と置き換えて検討することとの時間差がそんなにあるとは思えません。何よりも大型センターの設計・建設が省略できる時間短縮効果は大きいと思われます。
○ そもそも、この10年来、市民の願いに背を向けてきたのは市と市教委です。重い腰だったとはいえ、やっと上がったことは歓迎です。ところがその長期間に比べ、全く短兵急に、大型センター化の方針が打ち出されました。仮に、私たちの主張に対し、遅れるかのようなお考えがあるとすればそれは前述の通り全くの誤解であって、むしろ私たちの主張は、早期実現への積極的建設的提案でもあります。遅延の真の責任の所在は、むしろこの10年の経過をしっかりと総括する中でこそ明らかになってくるものだと思います。
以上、よろしくお願いします
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