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本会議代表質問

2001年5月定例市会」代表質問

No.6

市民の暮らしを守ることは、自治体の責務

 私は日本共産党市会議員団を代表して、市長ならびに理事者に質問いたします。

 まず最初に福祉行政についてであります。先日、私は、いわゆる野宿生活をしながら路上で亡くなられた人たちの追悼式に参加させていただく機会がありました。現在野宿をされている人たちやボランティアのみなさんたちが集まり、みんなで歌を歌い、花や線香を捧げるだけの本当にささやかな手作りの催しでありました。壁には、この10年間ほどの間に亡くなられた何十人もの人たちの名前と死亡年月日が書かれた紙が貼られています。最近ほど亡くなられている方が増えています。一体、人生の最後が畳の上でないというのはどんな思いなんでしょうか。家のことやご家族のこと、仕事のことなど様々な思いが最後の脳裏を横切ったに違いありません。

 もっともそこまでには至らなくても、生活保護や就職、解雇リストラなど労働問題、下請負関係、融資や貸し付け、ご商売の先行きの問題、母子家庭の子どもさんの養育、国民健康保険や介護保険の保険料や一部負担金・利用料の支払い等々、本当に様々な相談がそれこそ毎日のように私どものもとにも寄せられています。

 市民・国民がくらしや仕事、住まい、医療や福祉などの問題で困ったり悩んだりしなくてもいいように、誰でもが安心してくらせ、人生をまっとうできるようにすることこそが、そもそも政治の目的であり、自治体の第一義的役割ではないんでしょうか。今こそ本市の役割の発揮が切実に求められています。国民健康保険や介護保険など、医療・福祉分野の市民負担軽減と給付の改善、生活保護や夏季歳末貸付の改善、相談体制の充実、各種プランの目標の早期達成等々、特に子ども老人障害者低所得者対策など、まず市民の暮らしを守り、市民生活全体の底上げをはかることが、施策の基本に据えられるべきではないでしょうか。こういう方向こそが、市長の言われる「安らぎのあるくらし」の具体化であり裏付けではないのでしょうか。

生活保護行政について

 そこで以上のような立場を前提に、福祉行政の中でも文字通り最後の砦である生活保護について、以下、質問します。この課題は昨年秋にも我が党議員が取り上げ、「必要な人に保護をおこない適切な運営に努める」と局長が答弁されています。この流れに沿って、ホームレス対策や就労支援のための嘱託職員配置など一定の改善の兆しと努力も見えてはきました。しかし一方、相談だけで申請に至らしめない対応や厳しい就労指導は引き続き問題になっています。例えば、ある母子家庭では娘さんが卒業間近で就職が決まったというだけで、しかも初任給をもらったとしても未だ保護基準以下なのに、内定の段階で、辞退届けを書くように指導がされる、あるご夫婦は何回も申請に行っておられるのに、仕事を探すようにいわれて申請には至らないままになっている、パートに行っておられるある受給者の方はもっと収入のいい職場へ転職するようにと言われ、その指導に従わなかったからという理由で停止されてしまった、60歳を越えた方が申請にいかれても働くようにと追い返される、等々、こういう事例がまだまだ少なくありません。開業医やハローワークの職員からも、「病人なのに停止すべきではない」「この人では就職は無理だ」などの声が上がっている例さえあるほどです。

 病気や就職難で仕事に就くことができない人にまで保護の道を閉ざすべきではありません。自立を援助するというのは、同時併行で保護を適用し「生活を保障するとともに」というのが法の条文であり精神であって、廃止することではありません。「雇ってもらうべし」という指導指示が守れるのであれば失業問題はそもそも存在しません。厚生労働省でも一連の会議で「家や仕事がないからといって保護の要件に欠けるものではない、努力しても就職できない人には当然保護を受ける権利がある、この時代に保護の増加は当然である」等々と強調しています。また最近の裁判例でも「働こうとしても実際に働く場所がなければ能力を活用していないとはいえない」との判決が出されています。国でも裁判所でも決着済みなのに本市ではなぜそれが具体化されないのでしょうか。今年春の京都新聞の座談会でも、市長は「福祉と教育はどんなことがあっても後退させない」と言っておられるではありませんか。

市民の生活実態にそくした生活保護行政を
仕事の確保をー緊急雇用特別対策事業の継続拡充を政府に働きかけよ


 そこで質問です。第一は、以上のような市民生活の実態を無視した生活保護行政をまず改めるべきだと考えますが、如何でしょうか。具体的には、相談だけでなくまず申請は受理すること、家や仕事がないことを理由に申請拒否や却下、停止はしないこと、これらについてお答え下さい。また第二に、関連して、仕事の確保についても、一番仕事につきたいのは本人なわけですから、国や府の役割だなどと言っていないで、本市としても仕事起こしを工夫し、雇用拡大に努力すること。当面、緊急雇用特別対策事業の継続拡充を政府に強く働きかけるとともに、市独自ででも継続するなど、努力をすべきだと思いますがいかがでしょうか、以上2点についてお答え下さい。

〈井尻保健福祉局長〉ホームレスも含め、生活に困窮し、福祉事務所に来所する方には、制度の説明をし、困窮の状況を聞いて適切に対応しており、不景気の中、被保護者も増加している今後も「必要な人に必要な保護」を行い、適切に運営していく。

〈高木副市長〉11年度から3年間の臨時応急措置として創設された。全額国補助の事業であり、厳しい財政の中、単独継続は困難。国に継続を求める。国・府と連携し、安定的な雇用確保につとめる。
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乳幼児医療無料化の対象年齢を就学前までひきあげよ

 二番目に、乳幼児医療無料化の対象年齢の引き上げについて質問します。我が党はかねてから、就学前までの早急な拡大を求めてきたところであり、また市民の大きな世論の力で今日の3歳未満までの助成制度が実現してきました。この課題は、乳幼児自身の病気の早期発見・早期治療、子育て真最中の若い夫婦への直接的な経済援助などとともに、育児への心理的な支援・激励、若いお母さん、お父さんへの安心感の提供という波及効果をも、もたらすものであり、少子化対策の重要な柱となるものであります。総務庁家計年報でも若年世帯の家計に占める保健医療サービス費は、50歳以上世帯より5割以上も高いという実態も示されており、慢性疾患や、恒常的に治療の必要な子どもさんの親にとっての経済的負担は特に大変です。ある保育園のアンケートでも、「3歳までは大変助かりました。しかし小学校へ行くぐらいまではよく病気やけがもするので、ぜひとも年齢を引き上げてほしい」「うちの子はよく風邪をひくのに医療代が高いため薬局の風邪薬をつかって、ひどくならない限り医者には連れて行けない、小学校までとかに広げてほしい」などの声が寄せられています。また4歳の、アトピーのある双子を育てておられるお母さんは、「3歳になってからの医療費は2人で月5千円から1万円もかかり、それ以外にも食事療法のための費用など負担が大変」とおっしゃっています。すでに、少子化への対応を考える有識者会議の提言でも日本医師会の報告書でも、また参議院国民生活・経済に関する調査会中間報告などでも無料化の実施・拡大についてとりあげられており、特にこの参議院の報告の中では「出産・育児にかかる経済的負担の軽減」が第一の課題として超党派で合意されています。政府においても、先日、日本共産党西山とき子参議院議員の質問に答え、99年から2000年にかけての1年間に、助成を就学前まで広げた自治体が、通院では2.5倍、入院でも1.7倍に増えているなどの資料が明らかにされました。京都府内各自治体でも年齢が引き上げられつつあり、まさに全国的・全府的な流れになっています。本市基本計画でも「子育て家庭の医療費の負担を軽減し安心して乳幼児が医療を受けられるよう医療費助成制度を充実する」と書かれています。推進プランでも今年度中に検討、来年再来年度で検討・実施となっていますが、就学前までの拡充に直ちに取り組むことが子育て支援への市長の姿勢を明確に示すことになるのではありませんか。直ちに就学前までに引き上げるべきであります。市長も安らぎのあるまちというのは安心して子どもを産み育てられるまちのことだと言っておられる通りであります。いかがですか、お答え下さい。

〈保健福祉局長〉子育て支援の観点で3歳未満児対象に実施。全国共通の課題であり、国の制度として確立するよう要望している。国の動向を注視し、府と協議して検討する。
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市バス、交通問題について

市民の足を守れ 92号系統の復活を求める

 三番目に、市バスの問題、交通問題について質問します。

 今春の4600?の削減以降、不便になった、運賃が倍かかるなど、様々な声が続出しています。全体としてもう一度一から考え直すべきだと思いますが、例えば丸太町通り・千本通り経由で大覚寺と北大路バスターミナルを結んでいた旧92号沿線でも、右京区では存続を求める署名がたくさん集まっていましたし、また特に千本北大路にあるライトハウスなどへ通う視覚障害の人たちにとっては円町または千本丸太町などでの乗換を余儀なくされ、一人では行けなくなるなど大変なご苦労を強いられています。今年春の予算委員会での我が党委員の質問に対し、市長は、「いかなる変革も不安と苦痛を伴うものだ」と言われましたが、障害を持つ人にまで更なる不安と苦痛を与えることが平気なのですか、直ちに92号を復活すべきだと考えますが、まず第一にこの点についてご答弁を頂きたい。

17,43,特18号系統をもとに戻すべき

 また京都駅・出町経由で河原町通りを南北に、南区内と錦林車庫間を走っていた17号も南区内部分が切られたため、例えば府立病院へ通院中の方は京都駅での乗り換えを余儀なくされ、それも非常に分かりにくくバスプールの端から端まで迂回しなければならない、運賃も2倍かかる、また市役所の近所にお勤めの方は西大路駅からJRに乗り、京都駅でバスに乗り換えておられます。更に南区西部からは、四条河原町へ行っていた43号は烏丸まで、四条烏丸へ行っていた特18号は大宮・壬生までに削られ、河原町・烏丸方面などへも行けなくなってしまいました。「南区民は区内だけで生活しておけというのか」「市中心部へ行くなというのか」という声が広がっています。17・43・特18号などを元通りにすべきだと思いますが、二番目に、この点についてもお答え下さい。

 南区の、特に西部方面では今回の削減以前からの問題が山積しています。元々本数が少ない上に、そのバスすらいつ来るか分からない、多くの停留所には屋根もベンチもない、市内中心部へは乗り換えが必要でまた運賃がかかる、踏んだり蹴ったりとはこのことであり、この地域については以前からの独自の課題が横たわっています。改善を強く求めるものであります。

バス離れの原因を取り除き、再建を

 我が党は従来から、積極的営業政策や具体的な走行環境改善努力を抜きに、赤字だから縮小というだけではますます利用減を招き、悪循環に陥ると指摘をしてきましたが、今日の事態は残念ながらまさにこれらの指摘通りに進行しつつあります。今年の予算委員会で副市長は「平成10年度と比べ、乗客数は91%なのに営業距離は97%、客数に応じて整合性が必要だ」と答弁されています。整合性というのが、利用の現状に合わせて営業距離も減らすという意味であるなら、利用が低下する傾向のもとでは、削減は今回だけにとどまらないことになってしまいます。これではますます先細りするばかりです。

 バス離れの原因を取り除いていく努力こそが再建への基本です。そのために、定時性の確保など走行環境の改善、運賃や乗り継ぎ制度の改善、増便、バスロケの設置など、抜本的な改善を強く求めるものでありますが、いかがでしょうか。お答え下さい。

〈中谷副市長〉道路・橋梁整備を行ってきた。走行環境改善には関係機関との連携が必要。一日カードの値下げも行った。運賃は、バス・地下鉄のネットワークを生かし、乗り継ぎ制度を含めて検討中。

〈江草交通局長〉乗客の減少、利用実態から見直した。一部の方にはご不便をおかけするが、なにとぞご理解をいただきたい。一人一人を大切にする精神で効率的運営、市民の足の確保につとめたい。
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道路交通問題、環境問題について

 最後に、以上のような公共交通を守る課題も念頭に置きながら、道路交通問題、環境問題について質問します。

COP3開催地として二酸化炭素削減の計画を示すべき

 交通の分野では、それが衣食住と同様に人間生活にとって不可欠なものであり、しかもその移動は交通権即ち国や自治体がその権利を保障すべきものであるとの認識が深まってきましたし、また、交通事故の多発や公害環境問題の深刻化など、道路拡張とのイタチゴッコの時代はもう終わった、際限のない車の増加そのものについて見直そうというのが今日の考え方の上での到達点となっています。国土交通省でも交通需要管理の必要性や路面電車の活用が呼びかけられ、また国の運輸政策審議会でも「クルマ社会からの脱皮が必要」とさえ答申されています。全国各地でパーク&ライドや車の規制、地域循環バスなどが試みられ、また欧米でも高速道路の見直しや路面電車の復活、例えばイタリアでは月一回車のない日曜日という取組みが伝えられています。

 また一般に公害環境問題といえば、固定発生源から移動発生源へ、単体規制から総量規制へ、因果関係の認定・被害者救済とともに、いよいよ差し止め判決へ、そして経済との調和から、今日では経済的利益よりも人間の命と健康、環境が優先するという考え方にまで発展してきました。

 そこで、特に地球温暖化防止の立場からいえば、C02排出量の3割近くを占め、しかもこの10年ではその増加率が最大とされているのが運輸部門であり、勿論それだけではないとはいえ、何らかの自動車対策抜きにC02削減を論じることができないことも明白です。だからこそ本市でもすでに8年前から京都市自動車公害防止計画を立てて市環境保全基準の達成を目指してきましたし、環境管理計画や温暖化対策地域推進計画等の立案、京のアジェンダ21の推進、更にC0P3の開催地として、本市独自の10%削減計画を打ち出されてきたのであります。議会でも先日の開会本会議でアメリカの態度を遺憾とし、日本の早期批准を求める決議が採択されたところであります。

 ところが、いざ、実際、市長の方針と実践はといえば、こういう交通や環境をめぐる内外の動向や議論が深まってきた経過、自ら掲げた環境目標の達成をめざす立場などからほど遠い、むしろ矛盾するとも思えるほどのものであると言わなければなりません。そもそも自動車公害防止計画や10%削減への目標達成のための方針は、市民一般に抽象的な理解と協力を求めるという考え方が基本で、具体的な規制や誘導など本市としての積極的抜本的な対策がないのが決定的な弱点です。自排局などでの大気汚染の現状は改善の兆しが見えませんし排気ガスが一因と言われている花粉症も増大の傾向です。昨年度までの期限であった自動車公害防止計画の目標は結局未達成のまま何の総括もされていません。そこでまず第一には、この計画についてどのように総括しておられますか、この点についてお答え下さい。

二酸化炭素削減と矛盾する市内高速道路計画のストップを

 また今年度からの第二次自動車公害防止計画では交通需要管理など新たな手法にも触れられてはいますが、その実効性については未知数であり、目標達成の具体的裏付けは明らかではありません。推進プランにも「自動車交通の抑制と平準化のため都心部や観光地など交通需要管理を推進」と書かれてはいますが具体策は見えません。我が党は早くから車の総量規制、パーク&ライド、トランジットモール、路面電車などについて要求してきましたが、C02の2010年10%削減目標も含め、この計画が掲げる諸目標を達成するためには、計画やプランをもっと具体的にし、また合わせて節々での中間的年次目標の設定とその時々での点検・中間総括が必要だと思いますが如何でしょうか。お答えください。 更に、目標達成と矛盾すると思えるものは市内高速道路計画であります。高速道路を作れば一層市内に車を呼び込むことは明らかですし、10%削減目標に逆行することは明白です。交通量が増えるから作るんだと言い張るのなら、そもそも市内交通量がこれ以上増えないような対策を考えることの方がよほど財政的にも環境目標達成のためにもいいではありませんか。目標達成のためにも、計画をストップすべきですがいかがですか。

第2久世橋など生活道路優先を

 また西大路五条付近では、高速道路の出口が計画され、排気塔からの排ガスに加え、島津の大型店舗の心配や、西立体交差によってますます車があふれる恐れなど、まさに市立病院の目の前で渋滞と大気汚染が進行することになってしまいます。すでに京都南大橋と新大宮橋、久世北茶屋線などの工事も進んでいますし、むしろ第二久世橋など生活一般道路を早く作ることこそが求められています。不必要なところと急ぐべきところが逆なのではありませんか。この点で特に第二久世橋建設のメドと決意についても答弁を求めます。

 以上、それぞれ明確なご答弁を求めまして、質問を終わります。

〈桝本市長〉旧計画では、市バス、公用車への低公害車道入、事業者への低公害車リース助成など一定の成果を上げてきた。自動車交通全般の変化に対応し、今後10年の計画を策定。低公害車の普及、バイオディーゼル燃料の使用、エコドライブの啓発、アイドリングストップDPF導入による排ガスの浄化や、交通需要管理による自動車抑制を進める。計画の進行管理は、各年度の進捗状況の把握をひきつづき進める。

〈野嶋建設局長〉高速道路は、交通渋滞の解決、経済活動発展と豊かな市民生活にぜひ必要。基本計画でも重点的に位置づけている。渋滞解消、定時走行。CO2削減、経済効果がある。環境調査は供用前後に行う。第二久世橋など幹線道路や生活道路も積極的に進める。

第2質問

 乳幼児医療費については、自らの約束からトーンダウンしている。一刻も早く実施すべき。自動車公害防止についての答弁は、単体規制のみである。総量規制に向かうよう総合的推進を求める。高速道路推進の発言はとうてい容認できない。見直しを再度求める。