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本会議代表質問

2002年9月定例市会」代表質問

No.5

医療と介護について

健康保険法の改悪は多くの市民の心配が広がっている

 南区選出の井上けんじでございます。私は日本共産党市会議員団を代表して市長ならびに理事者の皆さんに質問します。

 まず最初に、医療と介護についてお尋ねします。

 日本医師会・歯科医師会・薬剤師会をはじめ医療関係者や多くの国民の怒りや不安の声を踏みにじって、自民公明など政府与党は健康保険法の改悪を強行しました。

 サラリーマンは保険料値上げとともに窓口での支払いも現行二割が三割への値上げ、老人の窓口負担は定額から1割または2割の定率への値上げ、1ヶ月の限度額はいずれも大幅引き上げのうえ、いったん窓口で支払って、2〜3ヶ月後の払い戻しとなります。老人医療費の値上げはもう半月後に迫っており、「お金はいくら持っていけばいいんだろうか」「体よりもそっちの方が気にかかる」など、大変な心配がひろがっています。

 すでにこの4月には診療報酬が引き下げられ、これではまともな治療ができないと命を預かる医療機関から痛切な声が寄せられています。また6ヶ月を超える入院患者への診療報酬も大幅に引き下げられ、今、私も正にこのケースの方からご相談を受けておりますが、この4月に入院した人はいよいよ来月から行き場がなくなるという大変な事態に直面しています。そこへ今度の改悪が決定的ともいえる追い打ちをかけています。

 しあさっては敬老の日というのに自民党公明党などからのとんでもない贈り物ではありませんか。特に公明党は昨年の参議院選挙で医療の負担増に反対と公約しておられました。高齢化社会でやむをえない、などと公明党の大臣は弁解していますが、参議院選挙の時はまだ高齢化社会ではなかったとでも言うのでしょうか。

 老人医療について南区のある診療所の試算によると、現行34百円から、来月は15310円へ、月一万円以上も窓口負担が増える人もおられるなど、特に、例えば在宅酸素など医療器具を自宅で使っておられる患者さんなどを中心に大幅な負担増が待ち受けています。すでに受診抑制と重症化がすすんでいます。ある業者の団体の調査では、この二年間に亡くなられた方の45%が、初期の受診を我慢しておられたなどのため、初診から僅か10日以内に亡くなっておられます。いつでもどこでも、安心してお医者さんにかかれる、早期発見早期治療。これこそが医療の基本ではありませんか。

 市長は、政府に対して実施の凍結を求めるなど強く声をあげていくべきであります。そもそも限度額の12,000円が高すぎます。せめてそれを超える老人の医療費窓口負担について、現物給付や委任払いなど、限度額を超える額は負担しなくてもいいように直ちに対策を立てるべきであります。

 そこで質問です。6ヶ月を超える入院患者は、全国的には、今春の段階で医療関係団体の調査では10万人、政府の国会答弁では5万人ということですが、京都市内では何人おられますか、行き場のない老人が生まれないよう最大限の手を尽くすべきであります。定率負担や限度額引き上げによって、老人の負担増はどれくらいになるでしょうか、国保や老人保健・老人医療など市民への負担、本市への財政的影響はどれくらいの規模になるでしょうか、実態をつかんでおられますか、明らかにされたい。つかんでおられなければ早急に実態を把握し、明らかにされるよう求めます。お答え下さい。

(桝本市長)今回の改革は、国民皆保険を維持していくために、やむを得ない措置であると理解している。改革の影響については、国保及び老人保健財政は、厳しいものになると見込んでいる。 医療保険制度の継続には、保険者の統合、再編などの改革や財政支援の強化が必要不可欠であり、国に対しその実現を強く求める。
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介護保険について

保険料の軽減策の拡充は緊急の課題

 次に、介護保険については多くの改善すべき課題がありますが、そのうち特に、保険料・利用料の軽減策と基盤整備について質問します。

 まず保険料ですが、来年度からの次期計画の策定にあたって、値上げの不安が広がっています。これ以上の負担増は特に高齢者の生活をますます窮地に追いやるものであり、まして、スライド凍結解除で年金収入が減らされようとしている時に、保険料は引き上げるべきではありません。そもそも非課税のお年寄りから保険料をとること自体が問題です。市内のお年寄りの老齢国民年金の平均は月5万円にもなりません。老齢福祉年金よりも少ない人や、生活保護の対象でありながら受けておられない人たちが少なくありません。このことからも特に、保険料第二段階の人たちへの軽減策の積極的な拡充は緊急の課題であります。

利用料軽減の施策を

 利用料についても、本来必要なサービス量よりも、負担できる範囲内に抑えてプランを立てている例が多いとのケアマネージャーさんの話であり、これが、利用が支給限度額の4割程度に留まっている大きな理由のひとつとなっています。以前から訪問介護を利用している非課税の人は現在3%の利用料ですが、来年度は6%、その後10%に引き上げられていくといわれています。例えば、何とか月5千円の利用料でヘルパーを利用している人も、1万円、1万6千円以上になっていくことになりますが、元々その5千円が、必要なサービスの費用ではなく、払える限度なのですから、結局はその分だけサービスを抑えなければならないことになってしまいます。せめて最低限の前提として、現行の軽減措置を継続すべきです。そのうえで、抜本的な保険料利用料軽減のしくみについて、国にも強く求めるとともに、市独自としても、一般会計繰入れも含めて実現すべきだと思いますがいかがでしょうか、お答え下さい。

特別養護老人ホームは圧倒的に足りない
 痴呆対応型グループホームの増設を


 基盤整備については、やはり特別養護老人ホームが圧倒的に足りません。今やっと、介護保険発足前から申込まれていた人たちが入所できつつあるという段階で、二年待ち三年待ちは当たり前という状態になっています。施設のみなさんに聞いてみますと、うちの施設では申込者数は約400人ですとか、うちでは500人位ですなどとの返事が少なくありません。今年のはじめ、やっと本市でも待機者数を2033人と発表しましたが、特養老人ホームの今年度の定員は3620人ですから、いかに待機者が多いかが分かります。

 まして先ほども質問しました通り、このままでは6ヶ月を超える入院患者が病院を追われ、行き場のない老人がさらに増えることが予測されることを考えれば、施設整備はまさに待ったなしの課題であると言わなければなりません。また合わせて、痴呆対応型グループホームももっと必要です。これらの増設・整備についてお答え下さい。

(松井副市長)介護保険における、訪問介護の経過措置の平成15,16年度の内容については、現段階では国から示されていない。本市独自の保険料減額対策は、15年度以降も継続と合わせ、適用基準の拡大を図る。一般会計からの繰り入れについては、制度で必要とされているもの以外は行うべきでないと考える。

 今後の介護基盤整備については、高齢者の生活と健康に関する調査結果や社会的入院の問題などを踏まえ、ニーズに対応できるよう介護保険等運営委員会で示した。次期計画における目標量は、今秋に実施予定の市民説明会などを通じ、市民の意見を踏まえて策定する。
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まちづくり、都市計画について

 次に、市内高速道路計画や二条駅周辺整備事業、第三セクター、PFIや都市再生など、まちづくりや都市計画の分野について質問します。

京都市内高速道路は凍結・中止すべき
 景観と環境を破壊。巨額の財政負担が必要


 まず市内高速道路についてお聞きします。

 日本共産党市会議員団はこれまで一貫して、市内高速道路計画を凍結・中止するよう求めてきました。都心に車を集中させて渋滞をひどくし、景観と環境を破壊するばかりでなく、巨額の財政負担を必要とするからであります。全く歴史都市京都にふさわしくありません。今こそ高速道路優先の交通政策を改め、一般道路の油小路通りをはじめ、生活道路の整備をすすめるとともに、公共交通優先の、人と環境にやさしい総合的な交通政策に転換すべき時であります。それでこそ渋滞解消もすすめることができます。政府の道路4公団民営化推進委員会は、8月30日に中間報告を出しましたが、この中で、京都市内高速道路の油小路線を含め、事業の進捗率が低い路線については建設を凍結すること、仮に建設を継続する場合には、国と地方が事業費の全額を負担するなど、大幅な見直しをすることを確認しました。この報告によれば、油小路線だけでなく、油小路線と第二京阪道路を結ぶ予定の洛南連絡道や第二京阪のうち枚方以南の建設が凍結される可能性が高くなっています。ところが新聞報道によると、京都市は「凍結論は受け入れられない」と反対の姿勢を明らかにし、あくまで高速道路の建設を続けようとしています。仮に建設を続け、国と自治体で建設費を全額負担することになれば、油小路線だけで、しかも出資金だけで本市の負担は、現在予定されている額の4倍、260億円を超える膨大な額に膨れあがります。貴重な市民の税金を、これ以上、無駄な高速道路建設に使うことは許されません。財政非常事態ではないのですか。新たな展開のもとで、油小路線をはじめ、京都市内高速道路計画を凍結・中止するよう改めて求めるものであります。いかがでしょうか。

(野嶋建設局長)道路関係四公団民営化推進委員会の審議の中で、油小路線の凍結を求める意見が出たことは承知している。これは、各路線の進捗率のみから出された一つの意見であり、必要性から出されたものではなく、「中間整理」では、見直しとなる個別路線や国と地方による事業費の全額負担などは示されていない。京都高速道路は、必要不可欠な都市基盤施設であり、早期完成に向け取り組むとともに、これ以上の負担とならないよう国等関係機関に強く働きかける。

二条駅地区の複合型商業施設建設計画の見直しを

 さて二条駅地区では、これまでにも誘致予定企業の撤退や関連会社の破綻など二度に渡って暗礁に乗り上げてきましたが、このたび、複合型商業施設の事業主体である二条プラザのオーナーが経営していた京都プラザが経営破綻するに及び、もはやこれ以上の計画継続と度重なる失敗の上塗りは許されない事態に至っています。
 そこで、この事業の推進役である本市出資の第三セクター京都二条開発については即刻事業を中止し、法人を解散すべきであります。二条駅地区の複合型商業施設建設計画は撤回し、計画の根本的見直し、情報公開、そして一から住民の声を聞き直して地区の将来像や活用計画を市民的に検討していくべきであると思いますがいかがでしょうか。

(建設局長)現在、株式会社二条プラザから提案のあった新たな資金調達法など、事業を推進するための仕組みを協議、事業化できるよう取りんでいる。京都二条開発については、事業主体との調整等の役割を担っているので、解散する考えはない。
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「都市再生」について

「都市再生」・緊急整備地域の申請はすべきでない

 ところで、この二条開発をはじめいわゆる三セク全体の破綻が明らかになっているのに、全くその反省もなく、新たに導入しようとしているのがPFIであり、また都市再生と呼ばれる手法であります。そこで次にこれらについて質問します。

 まず都市再生推進の狙いも含めて登場してきたのが、民間主導の公共事業と言われるPFIという方法であり、すでに本市でも、「今後取り組む事業について、導入するための指針」との文書が出されており、市役所と看護短大が例に挙げられています。しかしこのPFIは三セク以上に問題の大きいものであります。まず第一に民間企業への事業機会の創出という動機から出発しており、その事業が必要かどうかの検討があいまいにされるおそれがあります。第二に、財政にしても自治体にとって安くて済むという保障や根拠はどこにもありません。第三に、破綻の場合の危険性が回避できると謳われていますが、例えば市役所庁舎が差押えられることもありうるなど、結局最終的な破綻のツケは自治体が負うことになってしまいます。更に、建設管理運営を一括して特別目的会社が行うため今まで以上に地元中小企業に仕事が回らなくなるという問題点も指摘されるなど、検討すべき課題が数多く存在しています。安易な導入はすべきではありません。

 また、与党と民主党などの賛成で成立した都市再生法等によりますと、政府によって緊急整備地域として指定されると、その地域では、容積率や高さ規制・用途規制など既存の都市計画規制がすべて取り払われ、開発業者が都市計画の決定や変更を提案できるようになります。また無利子貸付・政府保証、おまけに業者の利子負担軽減等のため自治体は六ヶ月以内に計画決定しなければならないなど、開発業者にとっては至れり尽くせりの条件が整えられます。大手ゼネコンや大銀行のための新たな事業展開の場が提供され、一方で、景観破壊や住環境悪化、住民追い出しにもつながりかねない重大な内容をはらんでいます。それなのに何と本市では、南部の高度集積地区や京都駅八条口などで、この指定が受けられるよう申請を検討中とのことであります。また京都経済界では、この駅前と伏見の南部地域とを二つの重点開発地域とする構想を発表していますが、この立案には市の幹部もオブザーバーとして加わっています。

京都駅南口開発は市民的な討議の材料を提供せよ

 ところが、この京都駅八条口の一画は、四年前、国土交通省の外郭団体である民間都市開発推進機構という団体が駅前の松下興産の土地を購入、ここに十年以内にビル建設など何らかの開発をしてまた松下興産等に払い戻す予定などと言われている地域であります。大企業の遊休地を公的支援するものとして全国的に批判されてきたやり方ですが、ともあれこの間の推進機構と松下興産との協議には本市も加わっているのに、その経過は全く明らかにされていません。そこへこの都市再生であります。

 しかし京都駅八条口前付近は静かな住宅地や商店街で高齢者も多く、何よりもまず市民の生活の場であり、目の前には稲荷大社の御旅所、すぐ近所には、それより高い建物は京都には似合わないとの象徴となってきた、世界遺産・東寺の五重の塔がそびえ立つ地域で、開発や規制のあり方などについても慎重な対応や情報公開、合意と納得が必要です。住み良いまちづくりを願う地域住民の気持ちを逆手にとるべきではありません。日本建築学会の京都の都市景観の再生に関する提言でも建築規制の強化でまちなみ保存という方向が打ち出されています。

 南部であれ駅前であれ、具体的な計画や協議内容を秘密にしたまま、整備地域指定の申請などすべきではないと考えますがいかがですか。八条口駅前についても、推進機構や松下興産との協議の経過や、駅前と駅周辺の動きや計画について、この際全面的に明らかにし、広く市民的な討議の材料を提供すべきであります。合わせてお答え下さい。

(河内副市長)制度の趣旨を踏まえ、効果の見込まれる地域を選び 緊急整備地域の指定を受けることは、本市にとっても、都市の再生を進めるえで、重要な鍵となるもの。このため、南部創造のまちづくりを支える拠点地域等への地域指定に向けて、引き続き取り組む。

(海堀都市計画局長)民都機構と松下興産との協議の経過については、本市としては承知していないが、事業者から京都駅南口地域に関する開発計画 について相談があれば「京都市都市計画マスタープラン」に沿って協議する。

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働く人たちからの相談窓口の開設を

 次に、市民からの相談窓口の充実、特に働く人たちからの相談窓口の開設について質問します。今、小泉内閣の経済政策の失敗などで、企業の廃業・倒産・失業や不安定雇用の増加、リストラ、下請け単価の未払いや切り下げなど、不況のいっそうの深刻化が市民生活を直撃しています。昨年、自ら命を絶たれた方は全国で三万人を超え、京都市でも約350人、府内の個人の自己破産申請は4千件近くにものぼり、いずれも不況の影響が大きいとのことであります。なんと言うことでしょうか。ハローワークはいつも人で一杯です。市民からの相談については、市民生活センターや区役所地域振興課でも、それぞれ頑張って対応していただいておりますが、特に今日、サラ金・多重債務問題なども深刻化しており、いっそうの充実を強く期待するものであります。そこで特に労働行政についてですが、従来市長は国や府の仕事だと労働者への支援を避けてこられました。しかしこんな世の中で、相談に乗り、適切なアドバイスをすることは自治体として当然の仕事ではないでしょうか。例えば横浜市では労働情報センターという部署でミニ図書館ともいえるほど労働関係資料も揃えられ、各種労働調査報告や月刊誌の発行、更に平日はもちろん、この七月からは土曜日の午後も相談室を開かれています。大阪市でも労働職業相談情報ルーム・仕事情報ひろばという部署が開設されています。本市でも勤労者向けハンドブックも発行されるなど情報の発信に努めておられますが、もっと体制を充実し、市民である労働者勤労者の生活実態の把握や支援の方策を考えるべきであります。当面、勤労福祉青少年課について、青少年施策の充実はもちろん、勤労者支援策を独自の課題としてもっと充実させるとともに、働く人たちへの労働相談窓口を開設すべきだと考えますがいかがでしょうか。

(杉原文化市民局長)労働行政は、国及び都道府県が所管する分野だが、本市も支援策を実施している。
京都労働学校では、勤労者教育を実施。府市協調で、労働者生活特別融資制度を設けている。ホームページを開設、最新の情報を提供している。市民生活センター等の相談窓口では、勤労者の様々な相談に対応しており、引き続き適切に対応していく。

第二久世橋は、早期完成めざすよう強く要望する

 最後に南区の桂川にかかる第二久世橋の早期完成について要望しておきます。昨年、建設局は、今年の秋から橋本体の工事にかかる、そのため昨年12月に地元説明会を開く、と言っていました。ところがその後、説明会は開かれないまま、実に今日にまで至り、やっと最近になって開催のメドがたったとのことであります。この間、地元の皆さんは大変心配されてこられました。説明会開催が大幅に遅れたことについて本市の責任はまことに重大です。そこでこの遅れを一気に取り戻し、必要な手続きも経て、5年と言われている工期を出来る限り短縮し、早期完成をめざして最大限の努力を払われますよう強く要望して、しめくくりといたします。

 大手開発業者などへの優遇措置の一方で、まちこわしや不況、医療改悪など国民に激痛を押しつける小泉政治のもとで、今こそ住民の福祉の増進という自治体の存在意義が問われています。それぞれ積極的なご答弁を求めまして質問を終わります。