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本会議討論

2014年05月30日(金)

市税条例一部改正に対する反対討論

No.27

 日本共産党は、議第158号「市税条例の一部改正案」について反対しておりますので、私は、党議員団を代表してその理由をのべ、討論を行います。
 本条例改正案の主な提案内容の第一は、法人市民税法人税割の税率を引き下げ、これを地方法人税として国税化して地方交付税財源に充てる、というものであります。従ってその分、本市にとっては減収になりますが、その減収分は46億円。そのうち、交付税の算定上34億円は交付税として還元されると言われていますが、残りの12億円がどうなるかは未定で、全額が還元される裏付けはありません。
 提案内容の主な特徴の第二は、原動機付自転車と二輪及び四輪の軽自動車等について、その税金を値上げしようとするものであります。これによる本市の増収額は約3億5千万円規模だとのことであります。交通不便地域をはじめとして市民の足となり、また零細自営業者の営業を支えるバイクや軽自動車等の増税は、庶民にとって、消費税とともに、二重の増税となるものであります。
 今回の条例改正案は多項目に渡っており、賛成できる項目もありますが、以上に挙げた主要な二つの点については賛成できませんので、全体として本条例案に反対するものであります。そこで、以下、これら二つの点について、その理由を明らかにします。
 第一に、法人市民税の一部国税化・交付税財源化は、地方消費税により交付税不交付団体と交付団体をはじめ自治体間の格差が増々拡大するため、これを是正するために、という名目で、各地方自治体から既存の収入の一部を吸い上げて国税化し、再び交付税として再配分再調整しようとするものであります。格差是正を求める各自治体の声は当然ですし、他の税目に比べ、地方法人二税の地域間格差が大きいのもその通りですが、しかしその格差を大きくしている要因が地方消費税であり、この分析抜きの格差是正論は、今後の地方財政の、一層の消費税頼みの方向を認めてしまうものであります。本来の立場から言えば、地方財政危機打開及び自治体間格差是正は、本市自身も要求している通り、既存の交付税財源の法定率引き上げ等、政府の責任において財源保障し、また調整すべきものであります。
 6年前にも、都道府県税である法人事業税の一部が地方法人特別税として国税に移されましたが、今回、その一部がまた復元されるなど、政府の方針は首尾一貫せず、いってみれば、地方と事業者を翻弄しながら、全体としては、政府の責任を果たさず、自治体間の水平調整ばかりを押しつけている現状であります。消費税10%への再増税の際に、これら再調整の仕組みをまたぞろ見直すとされていますが、これは、全く国民的合意を得ていない消費税再増税を前提にしている点でも、また自治体財政を、増々消費税頼みに追い込んでいくという点でも、そして地方自治体をその都度振り回しているという点でも、絶対に容認できるものではありません。
 第二に、原動機付き自転車やバイク・軽自動車等の増税は、業界の強力な働きかけがあったと言われていますが、都道府県税である自動車取得税が減税され、それによる地方自治体の減収をカバーするためのものだとされています。全体として大型車に軽く、小型車に重くという傾向になっています。金額で言うと、この自動車取得税を原資として京都府から交付金として本市に収入される額は、直近の決算で言えば約14億円となっており、この交付金が減ることは確実です。バイクや軽自動車の増税分3.5億円でカバーできなければ本市にとって減収になりますし、また仮にカバーできて減収にならないとしても、それは庶民増税の犠牲のうえに立ってのことであります。この自動車取得税も、今後全廃といわれていますから、そうなると単純に言って14億−3.5億=10億円余りが本市の減収になりますし、またはいっそうの庶民増税への道か、いずれにしても増々自治体財政と国民市民の暮らしに犠牲を押しつける方向でしかありません。
 反対の理由の最後は、本条例改正案の提案にあたり、市長の、政府に対する批判的な立場が全く見られないことであります。本改正案は、地方税法の一部改正を本市において具体化しようとするものでありますが、前述の通り、市民と京都市、また全国各地の地方自治体にとって見過ごすことのできない重大な問題点が含まれています。今日の地方財政危機をどう打開するかという課題について、今回の地方税法改正と本条例改正案は、政府が責任をもって財政保障をするという方向ではなく、専ら自治体間での水平的財政調整と市民国民への増税で糊塗しようというのがその本質であります。
 然るに、市長は、何の批判的な視点も持たず、政府の法改正に従い、増税のしわ寄せを市民に押し付け、また本市の財政をもますます危うくしかねない提案を自らされています。法律には従わなければならないということと、その評価や分析、見解等を明らかにし、政府にもっと声を挙げるべきこととは全く別の問題であります。
 条例の改正案でありながら政府の立場を代弁しているだけの提案説明は、京都市自身、自らを政府の下請け機関におとしめるものであります。それとも政府への批判はあるが現実問題として対処しなければならないんだと言われるのなら、条例の提案説明にあたって、そういう見解も含めて明らかにすべきであります。
 或いは、代弁でもないし批判もない、政府と同じ考えなんだと言われるのでしょうか。それなら、なぜ市長は普段から「財政危機」を強調されるのでしょうか。「危機」を強調して市民や職員には値上げや切り捨て、人員削減を進めながら、ではなぜその一方で、今回、財政を歪め、減収にもなりかねないような提案を、自らされるのでしょうか。今後、財政危機だから我慢してほしいといわれても、最早、市民は誰も納得されないでしょう。
 以上が反対の理由であります。他会派の皆さんも、よく財政危機と言われます。ならば、こういう、自治体の財政を増々危うくするような動向や提案等に対しては、もっと批判的な声を挙げるべきではありませんか。地方財政危機打開に向けもっと議論を深めるべきではありませんか。是非ご賛同頂きますよう呼びかけまして、討論とします。